2004年03月20日(土) 07時03分
法人格の悪用団体出没 消費相談が増加 宮城(河北新報)
民間非営利団体(NPO)や特定非営利活動法人(NPO法人)を名乗る団体にだまされそうになったなどの消費生活相談が、宮城県内で増えている。特定非営利活動促進法が施行されて5年。多くのNPOが実績を重ねる一方で、その信用度を悪用し、法人格を取り消される団体も出ている。市民には「NPO」という看板ではなく、活動そのものを見分ける目が求められているようだ。
「個人情報の流出を防ぐために設立されたNPOですが、あなたの氏名や連絡先、借金歴が流出しています。登録料5万円を払えば、情報を抹消できます」
昨年末、仙台市の40代の女性にこんな電話がかかってきた。女性には借金の覚えがなく、不審に思って登録しなかったが、「NPOと言えば、良いことをする団体というイメージがある。ついだまされそうになった」と憤る。
宮城県と仙台市の消費生活センターによると、「NPO」を名乗る団体に関する相談は2001年度は7件だったが、02年度は3倍の24件に、03年度(03年12月末現在)は37件と年々増加している。宮城を除く東北5県のセンターへの相談は、同期間で1—7件だった。
宮城県と仙台市に寄せられた相談は「NPOの無料着付け教室で、高額の着物を売りつけられた」「NPO法人を名乗る団体から、使ったことのない有料情報サイトの料金請求が来た」「無料の耐震診断と言いながら、強引に工事契約を結ばせようとした」など、典型的なトラブルの手口が多い。
金銭的な被害につながったケースはわずかだが、仙台市消費生活センターの桑折達雄所長は「少しでもおかしいと思ったら、契約する前に最寄りのセンターへ相談してほしい」と話す。
1998年12月のNPO法施行から、昨年12月までに全国で認証されたNPO法人は約1万5000団体。一部には法人格を取り、それを隠れみのに不法な利益を得る例もみられる。内閣府は今月、恐喝容疑で代表者が逮捕されるなどしたNPO法人5団体の認証を全国で初めて取り消した。
NPO活動支援に取り組む「シーズ=市民活動を支える制度をつくる会」(東京)の松原明事務局長は「これだけ団体の数が増えた今、悪質な団体が出てくるのを防ぐことは難しい。市民はインターネットなどで公開されているNPOの活動内容や資金計画を確認し、NPOを見る目を養ってほしい」と強調している。
(河北新報)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040320-00000004-khk-toh