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タイヤと車軸をつなぐ金属部品のハブ破損が死亡事故につながった問題をめぐり、三菱自動車の技術者の1人が、事故後の昨年3月に開かれた社内研修会で「ハブ破損は整備不良による摩耗とは関係が少なく、三菱は、実車実験をしないなど、重要部品の耐久強度評価をおざなりにした」と発言し、リポートにまとめていたことがわかった。同社は最近まで、ハブの破損はユーザー側の整備不良のせいでリコール(無償回収・修理)には該当しないと言い続けていたが、リポートはこの公式見解と正反対の内容だった。
捜査当局はリポートを押収し、こうした意見が社内でどう扱われていたかに注目している。約40枚にわたるリポートは外部には公表されていない。今月に入って内容を把握した国土交通省は「設計上の欠陥を指摘する重要な内容で、リコールを避けるために報告を怠ったならば道路運送車両法違反の虚偽報告にあたる疑いもある」と見ている。
関係者によると、「ホイールハブ耐久試験方法について」と題したリポートが03年3月19日の研修会で発表された。重要部品の耐久試験を担当する職員がまとめた。
同社は88年3月以降、5種類のハブを製造したが、設計の際、強度や耐久性を調べる「実車実験」をしなかった。また、研究室などで急旋回時などにかかる力に耐えられるかどうかを調べる「台上試験」も、02年1月に横浜市で死亡事故を起こしたトレーラーに使われていたD型ハブの設計時に行っただけだった。
こうした事実を踏まえこの技術者はハブの亀裂を考察。ボルトの締め付け方よりも、直進や旋回といった走行方法の影響が大きいとして、脱輪につながる亀裂は整備不良との関係は少ないと判断。「耐久強度評価を欠如、またはおざなりにしていた」点を重視し、「ハブに限らず、(普通は廃車まで交換しない)重要保安安全部品が壊れたら、その重要性を考慮すべきだ」と記述した。
国交省は横浜の死亡事故後、同社に再三にわたり原因の報告を要求。同社は、副社長を責任者としたワーキンググループの結論をもとに「整備不良がハブの破断につながった」とする回答を繰り返した。ところが、今月11日、一転して国交省にリコールを申し出た。同社は「研修会は社内の若手技術者の勉強会。当時の社の判断はワーキンググループの結論をもとに行った」と同省に説明しているという。
(03/19 03:07)