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−前立腺とは。
精液をつくっている臓器で、その細胞ががん化するのが前立腺がん。七割が辺縁領域(図)にできます。
−増えているのですか。
癌研ではこの十五年で患者さんが七倍増です。高齢化や動物性脂肪の摂取増、それにPSA(前立腺特異抗原)という腫瘍(しゅよう)マーカーの普及などで発見しやすくなりました。
−かかりやすい男性は。
このがんは男性ホルモン(テストステロン)がないと育ちません。疫学的にはひげが濃かったり、性生活が活発な人に多いようです。遺伝性もあるようで、四人兄弟が全員かかったというケースもあります。
−肥大症との関係は?
移行領域の細胞が増殖するのが肥大症で、がんとはまったく別の病気です。ただ高齢になるとしばしば併発します。前立腺がんは自覚症状が出たときにはすでにかなり進行している状態ですが、肥大症は早期に頻尿や残尿感など排尿障害が自覚症状として出ます。肥大症をがんと思って受診して早期がんが見つかることがあります。
−肥大症がなくても早期に見つける方法は。
五十歳になったら一年に一回、PSA検査を勧めます。三親等内の家族に患者さんがいれば、四十五歳からがいい。PSAはゲル状の精液を液状化する酵素で、年齢によってばらつきはありますが、標準値は4。これを超えれば、がんを疑います。一グラムのがんがあると、PSAの血中濃度は3高くなるといわれます。PSAに、指で触る直腸診や超音波検査も併用し、生検で確定診断します。
−病期はどのように。
進行度でまず四段階に分けます。また浸潤や転移を起こしやすい悪性度によっても分けられます。前立腺がんは、悪性度を三段階に分けるほかのがんより顔つきが複雑で、五段階に分けるのが主流です。
−それぞれ治療は。
病期がAやBの早期がんは前立腺摘除術か放射線。放射線にも外照射と、最近認可された小線源療法(内照射)とがあります。進行が遅いので悪性度が低ければ何もしない経過観察という選択肢もあります。
−経過観察ですか?
手術ではがんの取り残しを避けるため周辺の神経血管束も取ることが多いので、勃起(ぼっき)能が失われます。術後、尿失禁もある。余命を考え、そうした後遺症を嫌がる患者さんの人生観に配慮するのです。ただケースによって勃起能を温存する手術も可能です。
−話題の小線源療法は。
癌研でも二月から始めました。直径一ミリ、長さ三ミリの細かい放射性物質を入れた針を約六十本患部に埋め込み、がん細胞をたたきます。外照射に比べて治療期間が短く、三泊四日の入院で埋め込みは一時間ぐらいで終わります。勃起能を温存できますが、再発したときの治療は手術も外照射もできず、ホルモン治療に限られます。
−ホルモン治療?
浸潤や転移があるときに中心となる治療です。一カ月か三カ月に一回、注射するだけで(がん細胞を育てる)男性ホルモンの分泌をゼロ近くにする製剤があります。負担は少ない半面、手術や放射線に比べて高価なのが欠点です。
−予後や生存率は。
ほかのがんに比べて予後はいい。再発や転移のチェックは定期的なPSA検査だけです。ほかのがんより恵まれています。
−最後にアドバイスを。
このがんを予防するには、若いころから動物性脂肪の少ない伝統的な日本食をとること。PSA検査も必ず受けることです。治療が必要になって良医を見つけるには、手術を何例ぐらいこなしたか聞いてほしい。聞かれて嫌がらずに答える医師を選ぶべきです。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/ken/20040319/ftu_____ken_____000.shtml