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2004年03月19日(金) 00時00分

再編加速?三菱東京、アコムを傘下 東京新聞

 18日に明らかになった三菱東京フィナンシャル・グループと消費者金融大手アコムの提携強化は消費者金融業界の再編加速につながる可能性がある。一方で、高収益が見込める消費者金融事業に大手銀行が新規顧客を獲得し、本格参入していくには依然多くの課題を抱えている。  (関龍市朗)

 景気回復で不良債権問題から脱却しつつある大手行にとって、収益力向上に向けた消費者金融やカードなど個人分野強化は共通の課題だ。一方で高成長を続けてきた消費者金融市場も成熟化の段階を迎えて、今後も成長していくには銀行など他業態との連携強化による顧客基盤の拡大が不可欠となる。

 銀行による消費者金融への参入は、これまでUFJとプロミスによる「モビット」や、三井住友と三洋信販による「アットローン」など、共同出資による新会社設立の方式が主流を占めてきた。三菱東京もアコムとの間で「東京三菱キャッシュワン」を設立している。

 銀行系の消費者金融会社は黒字化までに時間がかかり、総じて苦戦しているのが現状だ。参入が遅れた東京三菱キャッシュワンは特に経営不振が目立ち、三菱東京は減増資を実施し、累積赤字解消を図るなど経営立て直しを迫られている。

 このため三菱東京がアコム本体に一千二百億円規模の資金を出資する今回の戦略は、「個人分野強化へ時間を買う素早い動き」(JPモルガン証券の大塚誠二シニア・アナリスト)とみられている。三菱東京は三年以内に株価の時価総額で世界の金融機関トップ10入りを目標に掲げて、消費者金融事業を安定収益基盤に位置づけている欧米の主要金融機関の姿を目指す構えだ。

 今回の動きに対し、他行からは「個人分野の大戦争時代に入った」(UFJ)と警戒する声も上がり、十八日の東京株式市場では再編期待から銀行株やノンバンク株が軒並み上昇した。

 一方で冷めた反応も少なくない。消費者金融への参入に慎重なみずほ銀行は「銀行とは顧客層が違う」と提携効果を疑問視する。消費者金融側も「消費者金融本体を傘下に収める動きは既に外資系が主導してきたが、買収後は目立った実績を挙げていない。今回も大きな影響はない」(プロミス)と冷静に構える。

 消費者金融をめぐる収益環境も不透明だ。二〇〇三年の自己破産申請件数が約二十四万件と過去最高を記録するなど個人の多重債務問題が深刻化する中で、返済が滞り国内主要五社の貸倒償却率が〇一年は3・09%、〇二年は4・02%、〇三年は5・52%と年々上昇している。これが利益圧迫の要因となっている。

 消費者金融各社は出資法と利息制限法の間の「グレーゾーン」と呼ばれる金利帯で営業を展開している問題もある。さらに最大手の武富士が盗聴事件を起こすなど業界体質に不信の声も根強い。銀行の本格参入には業界健全化の取り組みも欠かせない。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20040319/mng_____kei_____005.shtml