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2004年03月18日(木) 18時41分

鳥インフルエンザ 危機感強める養鶏業者−−思い交錯 /岩手毎日新聞

 ◇県、消毒薬の無料配布検討
 政府が財政支援などを盛り込んだ鳥インフルエンザの緊急総合対策をまとめたが、県内の養鶏関係者の間では「これで騒ぎが沈静化してほしい」という切実な願いや、「価格や消費が低迷する心配はまだ消えない」といったさまざまな思いが交錯している。不安から過敏な反応もあり、県内の家畜保健衛生所に死んだ野鳥を持ち込むケースが増えている。【橋本勝利、工藤哲】
 ◇養鶏業者
 岩手県は、ブロイラー(食用鶏)の02年度産出額が451億円で全国1位。2、3位で続く宮崎県、鹿児島県とともに「ブロイラー王国」だ。1月中旬現在、県内の396農場で2001万785羽が飼育されている。また、鶏卵も127億円(02年度、全国11位)と全国有数で、57農場で419万羽の採卵鶏がいる。養鶏業者は県北地域に多く、全国の市町村で最も多い九戸村をはじめ、大野村、軽米町、玉山村などで盛んだ。
 県内での感染例はないが、農家への影響は徐々に切実となっている。二戸市の養鶏業者「阿部繁孝商店」の阿部荘介社長(66)は「売り上げが月に2億円は落ちた」と嘆く。同社は約600人を雇用する大手の業者で、「経営が悪化すれば地元経済への影響も大きい」と危機感を強める。
 県は防疫対策に万全を期すため、鶏などの家きん類を飼育する県民に、消毒薬を無料配布するなどの対策を検討している。
 ◇店頭
 鶏肉価格の落ち込みも目立つ。県ブロイラー事業協同組合によると、鶏のもも肉の卸売価格(1キロ当たり)は1月の約680円から3月には3割減の約480円に下落した。同組合は当面は「花見需要に期待する」と祈る思いだ。
 盛岡市のスーパー「ジョイス」では鳥インフルエンザの確認以来、鶏肉の販売金額は約2割落ち込んだ。同社は「卵も含めて消費者の買い控えが進んだが、逆に豚肉は増えた」という。県は今後、牛肉と同様に鶏肉の生産履歴管理システムを築き、食品の安全性を確保する方針を示している。
 ◇野鳥持ち込みも
 県内の家畜保健衛生所では、野鳥の持ち込みが急増している。死がい処理に警察が出動する騒ぎも起き、県は冷静な対応を呼びかけている。
 持ち込みは県内3カ所の衛生所のうち中央(滝沢村)、県南(水沢市)で目立ち、カラスやツグミ、スズメなどの死がいを住民が持参してくるという。県は「感染した鳥は複数で死んでおり、1羽だけ死んでいる場合はまず心配ない」と話している。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040318-00000003-mai-l03