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「医道審議会は医師と患者のトラブルを審議する会かと考えていたが、どうやら違うようだ」と作家・遠藤周作さんが書いたのは、もう十余年前になる◆きのう、その医道審議会が決めた東京慈恵会医大青戸病院の三医師についての行政処分を聞けば「やっとここまで来たか」と思うだろう。何しろ、医療過誤で刑事罰が確定する前に行政処分が行われるのは初めてなのだ◆医師免許の取り消しや医業停止などを決めるこの審議会に、遠藤さんが疑問を持ったのは行政処分の対象が、もっぱら殺人、放火など医師でなくても当然罰せられるような案件ばかりだったからだ◆そんなことなら、ことさら〈医道〉を名乗るまでもない。経験も指導医もなしに高度医療に暴走した青戸病院の一件は余りの無鉄砲で処分は当然だ◆今後も医療過誤には医道審の積極的対応を望む。「ようやくここまで来たか」とはいえ、処分の軽重、医業停止後の再教育、民事上の医療過誤事件への対応など問題は多い◆医道審に出番がない状態——それが理想だろうが、現実には問題が果てない。