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賃貸マンション退去時に敷金20万円を全額差し引かれたのは違法だとして、京都市南区の女性が家主らに返還を求めた訴訟の判決が16日、京都地裁であった。田中義則裁判官は通常の使用による損耗(自然損耗)の修繕などにかかった費用を借り主の負担と定めた入居時の特約について、消費者契約法に照らして無効と判断。家主に全額返還するよう命じた。
京都敷金・保証金弁護団の木内哲郎弁護士によると、民法を適用し、「貸主と借り主の間に有効な合意がなかった」として敷金の一部返還を命じた判決はこれまでにあったが、消費者契約法に基づき、自然損耗分を借り主負担と定めた特約自体を無効とした判決は全国で初めて。
判決によると、女性は98年7月に同市伏見区のマンションに入居し、敷金20万円を払った。02年6月の退去時、家主側は特約をもとに敷金を全額差し引き、返還しなかった。
女性は「消費者の利益を一方的に害する条項」を無効とした消費者契約法10条をもとに「特約は違法で無効」と主張。家主側は「特約は賃貸借関係を円滑にするもので、消費者の利益を一方的に害するとはいえない」と反論していた。
判決は「自然損耗による原状回復費用を賃借人に負担させることは、契約締結にあたっての情報力及び交渉力に劣る賃借人の利益を一方的に害する」と判断。特約は無効と結論づけた。
関西の弁護士や司法書士らでつくる敷金問題研究会の松丸正弁護士は「極めて意義深い判決だ」と話している。(03/17 00:41)