2004年03月17日(水) 03時05分
<偽装廃業>厚生年金保険料を納めず 埼玉の製造会社(毎日新聞)
埼玉県鳩ケ谷市内のゴム製造加工会社が浦和社会保険事務所に全喪(ぜんそ)届(廃業・解散届)を提出しながら、1年9カ月以上営業を続け、従業員十数人分の厚生年金保険料2000万円以上を納めていないことが16日分かった。同事務所は、厚生年金保険法で義務づけられた保険料納入から逃れるため、廃業を偽装したとみて、全喪届の取り消し処分を通知した。
社会保険庁によると、厚生年金保険の滞納は不況の影響などで全国的に増加している。滞納額は03年3月末現在、500億円を超え、10年前の9倍以上に膨れ上がっているが、今回のような「偽装廃業」が明るみに出るのは珍しい。
浦和社会保険事務所などによると、同社が全喪届を提出したのは02年6月。従業員十数人の健康保険証を回収したうえで届け出た。しかし、不審な点に気づいた同事務所が昨年10月から、立ち入り調査と呼び出し調査をして、出勤簿や賃金台帳をチェックしたところ、同社は営業を継続していた。
さらに同社は廃業を届け出た後、従業員も募集していたことも分かった。同県川口市内のハローワークに提出した求人票には「厚生年金加入」と虚偽の記載をしていたという。
このため、同事務所は昨年秋以降、全喪届を自発的に取り下げるよう行政指導してきた。しかし、同社が応じず、取り消し処分に踏み切った。
同社は現在も営業を続けており、同事務所は今後、未納分の保険料納付を求めていく方針。しかし、同社社長(62)は「30年ローンで払いたい」などと回答しているという。社長は毎日新聞の取材に対し「言うことは何もない」と話している。【松本信太郎】(毎日新聞)
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