悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。
また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。
ハンセン病歴を理由に宿泊拒否をした熊本県南小国町の「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」が15日正午から、県が旅館業法に基づいて出した営業停止処分を受けて休館した。営業停止期間は18日午前0時までの3日間。厚生労働省によると、宿泊拒否による営業停止処分は全国で初めて。また、熊本地検は国や県の告発を受けて同法違反容疑で捜査している。
この日は、県阿蘇保健所の職員がホテルを訪ね、営業停止処分についてホテル側に説明。宿泊名簿を見るなどして、営業停止していることを確認した。確認作業は17日まで続けるという。
ホテルを経営する化粧品訪問販売会社アイスター(本社・東京)は、5月5日ごろをめどにホテルを廃業する方針を表明している。ホテルの建物も取り壊す計画だ。
ホテル側が、ハンセン病歴を理由に国立療養所菊池恵楓園(けいふうえん)の入所者の宿泊を断ったのは昨年11月。県が宿泊拒否を公表すると、アイスター社は一転して入所者に謝罪の意を表明した。
ところが、アイスター社は「最初に入所者であることを伝えなかった」と県を批判。対決姿勢を強めた県は結局、「正当な理由も無く宿泊を拒んだ」とホテルを営業停止処分にした。
国の隔離政策を違憲と認めたハンセン病国賠訴訟判決は約3年前、熊本地裁で出された。
菊池恵楓園の入所者自治会は10日発行した機関誌「菊池野」で、関係者の談話などの特集を組んだ。ある入所者は「人間に戻れしと勝訴に涙して喜び合ひしは錯覚なりしか」との歌を寄せた。
太田明・自治会長は「廃業が決まった中での営業停止は、むなしい。責任の所在があいまいなままの幕引きになってしまった。営業を再開してハンセン病の啓発を進めて欲しかった。結果として、アイスターも県も私どもの3者とも苦い経験をした」と話した。(03/15 12:34)