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2004年03月14日(日) 03時14分

<鳥インフルエンザ>学校給食の鶏肉・卵、14市町村が排除毎日新聞

 鳥インフルエンザの感染拡大をきっかけに、学校給食のメニューから鶏肉や卵を外した自治体が9県の14市町村に上ることが、毎日新聞の全国調査で分かった。幼稚園から小中学校まで140施設を超える。専門家は「科学的根拠はゼロで、過剰反応だ」と批判している。

 3、4例目の鳥インフルエンザが発生した京都府の隣の滋賀県では、大津市など1市3町が鶏肉または卵の使用をやめた。今月2日から市内の34小中学校で両方とも自粛した大津市は「安全性に問題はないが、子供は給食を選べない。保護者から不安の声も寄せられている」と説明する。

 各自治体の言い分はさまざまだ。山形県鶴岡市は「保護者や児童に心配をかけたくない」。石川県志賀町の学校給食共同調理場長は「浅田農産が出荷した卵が県内にも流通していた。鶏肉も安全かどうかはっきりしないので」と言う。三重県多度町は「養鶏業者を守るのも大切だが、子供たちの健康を守るのが使命」と説明する。

 岩手県北上市では、4カ所の給食センターのうち1カ所だけが自粛した。熊本県南小国町給食センターは、大分県が11日に鶏と卵の移動制限を解除したにもかかわらず、「大分県が安全宣言すれば再開する」と話す。

 一方、福井県松岡町は今後、幼稚園や小中学校など8施設でゆで卵を外すことを決めた。「保護者から『鳥インフルエンザがあったのに何もしないのか』という声が出た場合のことを考えた」と説明する。

 和歌山県の橋本市など4市町は鳥インフルエンザ発生地の鶏肉は使わないと決め、納入業者に産地証明書を求めた。

 文部科学省は「食べても安全」とPRする文書を2回、都道府県に通知しているが「給食のメニューは市町村が決めること。国が食べろとは言えない」(学校健康教育課)として、指導には及び腰だ。【まとめ・早川健人】

◇農水省家きん疾病小委員会委員の大槻公一鳥取大教授(家畜微生物学)の話

 鳥インフルエンザにかかった鶏の肉、卵を食べたとしても、人に感染した例は世界的になく、科学的根拠はない。70度以上に加熱すれば、ウイルスは死滅する。「保護者に何か言われたら困る」というのは保身で、教育ではない。児童・生徒が正しい知識を得られるよう努力するのが教育機関の務めだ。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040314-00000082-mai-soci