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2004年03月14日(日) 03時15分

<怠慢行政>盲導犬連れた視覚障害者、イベントで入店拒否 福井毎日新聞

 福井県小浜市で昨年10月、県などが主催して開かれた「若狭路博2003メーンイベント」会場で、盲導犬を連れた視覚障害者の男性が、入り口で足止めされたり、会場内のレストランで入店拒否されたとして、県に苦情を訴えていることが分かった。県障害福祉課は毎日新聞の取材に対し「事実確認があいまいなままだった」として、再度調べることを明言した。男性が訪れた日は、盲導犬・介助犬・聴導犬の受け入れを義務付ける「身体障害者補助犬法」の完全施行(10月1日)直後で、会場では補助犬の啓発イベントも実施していた。

 本人や関係者によると、男性は10月4日午後2時ごろ、盲導犬を連れ、知人夫婦と一緒に、「人権啓発フェスティバル」(法務省、福井県など主催)の補助犬啓発イベントに参加しようと、同博メーンイベント会場(小浜市川崎3)を訪れた。

 知人の肩に手を置きながら、ゲートを通ろうとした際、盲導犬がハーネス(胴輪)をつけていたにもかかわらず、スタッフが呼び止めた。スタッフは近くの詰め所に行き、入場の可否を相談する様子だったという。

 数分待たされて入場はできた。しかし、その後会場内で民間委託のレストランに入ろうとした時、今度は女性従業員が「他のお客様もおりますので」などと入店を拒否した。男性らは、この出来事にあきれてしまい、従業員に説明や抗議をする気もわかず、その場を離れたという。

 この話を聞いた、男性の知り合いが、怒りを感じて2度、電子メールで県に抗議。県は半月後にようやくメールで「事実関係を確認しています」と返答。さらに半月後、「入場制限や、お断りした事実は確認できない」とした調査結果をメールしてきたという。

 男性自らも、昨年暮れに県に質問のメールを送ったが、県からいまだ回答はない。

 福井県は毎日新聞の取材に対し、「ペットの入場を遠慮してもらっていたので、入場の際、ペットか盲導犬か確認した可能性はある。本人さんに話を聞いておらず、(男性への)聴き取り調査も含め、再度確認作業をしたい」としている。

 この男性は、障害者にとって入店拒否などは日常的な出来事といい、「(その場で抗議すべきだったかもしれないが)起きるたびにエネルギーを使って抗議しても気が持たない。障害者が住みやすい環境整備のために、行政は真剣に取り組んでいるとは思えない」と訴えている。

 補助犬法は、公共施設や交通機関、飲食店などの民間施設に補助犬同伴の受け入れを義務付けている。罰則規定はないが、国や自治体に補助犬の役割の重要性について、国民の理解を深めるよう努めることを求めている。【田辺一城】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040314-00000084-mai-soci