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2004年03月14日(日) 00時00分

セカンドオピニオン<下> 紹介状・専門医選び  東京新聞

 実際にセカンドオピニオンが必要になった時、どうすればよいのか。どこの病院でも、手続きは(1)資料の準備(2)専門医の予約−の2ステップだ。

 (1)の資料で必要となるのは「診療情報提供書」と「検査データ」。提供書は病気の経過や主治医の診断、治療法、現在の状態などをまとめたいわゆる紹介状のこと。主治医に、セカンドオピニオンを聞きたい旨を伝え、CT(コンピューター断層撮影法)や病理検査などの結果と合わせて提供してもらう。

 だが、「主治医に頼みづらい」「気を悪くされそうで…」という声も少なくない。そんな不安に対して、静岡県立静岡がんセンター(同県長泉町)の山口建総長は「嫌な顔はされるかもしれないが、九割の医師は断らないはず。勇気を持って依頼して」と助言する。

 同センターは「よろず相談」の窓口でセカンドオピニオンを受け付けており、山口総長は「主治医の判断に不安を抱えたまま治療を受けてはいけない。治療は医師と患者の共同作業。患者も納得して参加して」と呼びかける。

 診療科別にセカンドオピニオンを実施している湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)の篠崎伸明副院長も「診療データは本来患者のもの。出し渋るような主治医なら、ほかの病院にかかった方が良い」と言い切る。

     ◇

 どこの病院、専門医にセカンドオピニオンをもらうのか、これが(2)のポイントだ。

 日本医科大学付属病院(東京都文京区)の隈崎達夫院長は、「主治医に相談するのが一番」とアドバイス。「その病気に適した専門医や施設を紹介してもらえるから」と説明する。

 このほか、約八百人の協力医のリストを持ち、病状に応じた専門医を紹介している市民団体「セカンドオピニオンを推進させる会」に相談する方法もある。

     ◇

 気になるのが料金だ。現在、セカンドオピニオンは健康保険の中で制度化されていない。保険外の自由診療として扱ったり、本人については初診扱いとして保険を適用したり、病院によって考え方はまちまち。厚生労働省は「保険でみるべきものかどうか議論する」(医療課)と説明する。

 例えば、日本医大付属病院は患者本人、家族ともに三十分二万円。隈崎院長は「診療行為は一切せず、意見を申し上げるのがセカンドオピニオン。専門性が高く、命にかかわるケースも多い。決して高くはない」と説明する。料金設定は弁護士の相談費用などを参考にしたという。

 静岡がんセンターは本人は初診扱いで保険を適用、家族は無料で対応している。山口総長は「料金を高くすれば来たい人でも来られなくなる。金の有無で差が出るのは避けたい」と語るが、「双方が命がけの会話をする。なまはんかな値段は付けられない」とも。

 国立がんセンター中央病院(東京都中央区)は本人は初診扱いで保険を適用。家族について昨年十月、三十分七千円から一万円に値上げした。児玉哲郎・総合病棟部長によると「通常、一人の患者に三十分もかけられない。忙しいベテラン医師が担当しており、時間に対する対価は受け取るべきと考えた」という。

 中村さんは「セカンドオピニオンを普及させるために、料金設定も含めた競争が起こるのは好ましい」と歓迎するが、「玉石混交の状態を避けるため、セカンドオピニオンに対応する病院や医師には一定の基準を設けるべきだ」と提案している。 (杉戸 祐子)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040314/ftu_____kur_____000.shtml