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タイヤと車軸をつなぐハブの破損による脱輪事故を51件も起こした三菱自動車製の大型車両をめぐって、問題となったハブを設計する際、同社はハブの強度や安全性を調べる実車実験をしていなかったことがわかった。一連の事故のうち1件は、横浜市で、外れたタイヤが主婦を直撃し死亡させた。捜査当局は、同社が実車実験を怠ったため金属疲労を起こしやすいハブの構造的欠陥を見落とした可能性もあるとみて同社の設計部門職員らの事情聴取を進めている。
また、国土交通省は、横浜の事故後、ハブ破損の原因究明の報告を再三求めたのに、実車実験をしなかったことなどを報告しなかった点を重視。道路運送車両法の虚偽報告にあたるとみて、同社を月内にも刑事告発する方針を固めた。
金属部品のハブは、定期交換対象の部品ではなく、どんなに長く走っても耐えうる構造に設計する必要がある。
三菱自動車は83年から現在まで5回、大型車に使うハブの設計変更をした。社内では設計段階順にA〜F型ハブと呼び、このうち横浜市の死亡事故を起こした大型トレーラーに使われたのは93年3月〜95年7月に製造されたD型ハブ。
ハブの設計時にテストコースを走るなどの実車実験をすることは法律で義務づけられていないが、三菱自動車は社内規則で設計変更時には安全検査の一環として実車実験を義務づけている。だが、関係者によると、C型からD型に設計変更をした際は実車実験をしなかったという。
人命に直接かかわる部品であることから、同業他社は、設計や設計変更の際、テストコースで実車実験をしたり、コンピューターでシミュレーションしたりして金属疲労が生じる恐れがないかどうかを確認しているという。
D型ハブの破損事故はこれまでに36件もあり、捜査当局が他の大型車メーカーに依頼して鑑定したところ、D型はC型よりも強度が弱かった。このため、D型に設計変更した際の経緯について設計担当者らから詳しく事情を聴いている。
関係者によると、同社は横浜市の事故の後、初めて約500台のハブについて無作為サンプル調査をした結果、約3割で亀裂が入っていた。ボルトの締め付け不足でハブが摩耗したものも、ほとんど新品同様の摩耗の少ないものも同じ高い確率だったのに同社は最近まで欠陥を認めなかった。
同社側はこれまでハブ破損の原因は利用者の整備不良にあると主張してきたが、11日、一転して設計上の問題があったことを認めたうえ、リコール(無償回収・修理)を実施することを国土交通省に申し出ている。
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〈03年に三菱自動車から分社化し、商用車部門を引き継いだ三菱ふそうトラック・バスコミュニケーションチームの話〉 ハブをC型からD型に設計変更した際は、台上試験は実施したが、実車実験やコンピューター解析はしていない。台上試験の内容や、実車実験、コンピューター解析をしなかった理由は、今は担当部署と連絡が取れず、わからない。
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〈実車実験と台上試験〉 自動車の走行部品の場合、実車実験では車体に組み込んで、カーブや悪路など実際の路面を想定したテストコース(試験路)を走らせて耐久性などを調べる。これに対し、台上試験は研究室などの机上で、部品に直接力をかけることなどを通じて調べる試験で、実際の路面を走ることはない。
(03/13 06:39)