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■国立がんセンター
東京都中央区の国立がんセンター中央病院。セカンドオピニオンの相談に応じる「医療相談外来」に女性が訪れ、話し始めた。
「母が肺がんでほかの病院に入院した。ある抗がん剤で治療を始めたが、副作用の皮膚炎が出たので主治医は投与を止めてしまった…。このままではがんが進行してしまう。母を助けたい。治療を再開してもらっていいだろうか。それともほかの治療法はあるのか」
応対したのは肺がんの専門医の児玉哲郎・総合病棟部長。副作用の程度を尋ね、再開の危険性を説明した上で、「二回目は副作用がないこともある。再開してはどうか」と提案。「副作用がまた出るようなら投与は打ち切った方がいい」と付け加え、その際の別の治療法も伝えた。女性は納得して帰ったという。
この時の対応を児玉部長は「患者と家族が最善の治療法を選択するための専門的な情報を提供した」と振り返る。
セカンドオピニオンとは、主治医の診断や治療法は正しいか、現在の治療で効果がない場合にほかの選択肢はあるか−、別の病院の医師が専門的な判断を示す行為だ。
■日本医科大付属病院
文京区の日本医科大学付属病院では昨年九月、「セカンドオピニオン外来」を新設した。実施は週三日。相談には隈崎達夫院長(放射線科)以下、部長クラスが対応している。
新設の背景には、隈崎院長自身の体験がある。
昨年はじめ、妻ががんだと知らされ、「誰か、専門家にすがりたい気持ちになった」。セカンドオピニオンとして、旧知の専門医三人に治療法を聞き回った。三人の見解は同じだった。隈崎院長は先端的な治療は断り、「余命をいかによく生きるか」を重視した治療を選んで妻の最期をみとった。
「しかるべき専門家に聞いたことで気持ちがまとまった」と隈崎院長は静かに振り返る。「誰かが病気になれば、その家庭のバランスが崩れる。そんな中で家族が事実を冷静に受け止め、病気と向き合うためにもセカンドオピニオンは大切だと感じた」
同病院では、セカンドオピニオンを本人や家族に伝えるほか、主治医にも書面で連絡する。隈崎院長は、「専門医の意見を得た上で主治医のもとで治療を進めるのが、セカンドオピニオンのあるべき姿。病院を超えたチーム医療だ」と明確に位置づける。
■セカンドオピニオンを推進させる会
セカンドオピニオンを望む患者や家族を専門医に紹介している市民団体「セカンドオピニオンを推進させる会」代表で医療ジャーナリストの中村康生さんによると、専門医に紹介したうちの約九割は、主治医の判断とセカンドオピニオンが一致しているという。
「主治医への信頼感が増し、安心して治療を受けられる。また説明不足な点を専門医が埋めることもでき、理解が深まる」と中村さん。
残りの一割は、誤診か見解の相違だ。食道がんと診断され、セカンドオピニオンを求めたところ、良性の食道平滑筋腫(しゅ)と判明した例や、卵巣腫瘍(しゅよう)で手術が必要と診断されたものの、卵胞が大きくなっていただけだった例もあるという。「複眼的にみることで誤診が避けられる」と中村さんはそのメリットを指摘する。
次回(下)は、セカンドオピニオンを得るための方法や料金などを−。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040313/ftu_____kur_____000.shtml