2004年03月13日(土) 15時05分
<三菱ふそう>ハブ設計ミス報告せず 2年前に亀裂確認(毎日新聞)
タイヤ脱落事故が相次いだ三菱ふそうトラック・バスが車軸とタイヤをつなぐ部品「ハブ」に欠陥があったとしてリコールを決めた問題で、同社は約2年前にハブの亀裂の原因として設計ミスを示すデータを得ながら、国土交通省に報告していなかったことが分かった。また、社内規則で義務付けられている実車実験をせずにハブの設計変更をし、その事実も報告していなかった。同省はデータを意図的に無視したり隠した疑いがあるとみて、道路運送車両法違反(虚偽報告)容疑での告発を視野に事情聴取を始めた。
国交省や関係者によると、同社は02年1月に横浜市瀬谷区で脱落タイヤの直撃を受けた母子が死傷した事故を受け、同年3〜6月、自主点検で交換されたハブ約480個を抽出して磁気探査検査を実施した。その結果、3割にあたる約140個から微細な亀裂が見つかり、うち3個は目視できる大きさだった。
亀裂は、整備不良などで0.8ミリ以上金属が摩耗したハブにも、整備状態が良好で摩耗が0.2〜0.3ミリ程度のハブにも満遍なく発生しており、いずれも脱輪事故の際の破断個所と同じ湾曲面に集中していた。
当時、同社は「整備不良車でハブの摩耗が進み亀裂、破断に至った」と設計上の原因を否定し、「摩耗が0.8ミリ以上のハブは危険性が高い」として自主点検・交換を進めていた。しかしデータは、摩耗と亀裂に因果関係はなく「整備不良でなくても破断が起きる」ことを示しており、従来の説明と矛盾する内容だった。
その後も脱落事故は続き、横浜の事故から03年5月までに計17件発生。国交省は再三「設計上の原因ではないか」と説明を要求したが、同社はこのデータを含め設計ミスをうかがわせるデータは提出しなかった。同社が今週、リコールを決めた説明をした際、初めて同省に出したという。
同社はまた、ハブの設計変更の際、実車実験をしていなかったことも今回の報告で認めた。実車実験は法律上の義務はないが、社内規則で安全対策の一環として定められているという。同社は83年から現在までにA〜F型まで5回の設計変更を行い、B〜E型で脱輪事故が発生。横浜の事故を起こした車はD型(93〜95年)だった。CからD型に変更する際、台上試験だけで実車実験はしていなかったという。【武田良敬】(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040313-00001050-mai-soci