2004年03月12日(金) 14時08分
春秋(日経新聞)
あの「三菱」がと、驚いた人も少なくないだろう。三菱ふそうトラック・バスが、タイヤ脱落の原因を従来「使用者の整備不良」と説明していたのをにわかに翻して「設計上の欠陥」によると認めたからだ。なぜ今ごろになってという不信感をぬぐいきれない。
▼三菱グループが組織する三菱広報委員会のホームページを見ると、「スリーダイヤ」のマークは「その信用のシンボルとして中心的役割を果たしている」と誇らしげに書いている。同グループはお堅いイメージの企業が多く、一般に安心ブランドの代表格と思われていただけに、落差があまりにも大きい。
▼もっとも三菱自動車から昨年分離した三菱ふそうの問題であり、他の三菱系企業にとっては、はた迷惑な話だろう。厳しい影響が予想されるのは、過去に乗用車でのリコール隠しの前歴がある経営再建中の三菱自動車である。落ちたブランドイメージを盛り返すのは容易ではない。
▼三菱グループには「三綱領」という経営理念がある。社会への貢献を意味する「初期奉公(しょきほうこう)」、公明正大な企業行動を求める「処事光明(しょじこうめい)」、世界的な事業展開を目指す「立(りつ)業貿易(ぎょうぼうえき)」である。3年前に同グループの社長会で現代的な解釈を加えて再確認したのだが、三菱ふそうは額に入れて飾っていただけなのか。
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20040312MS3M1201C12032004.html