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神戸市の連続児童殺傷事件の加害者の男性が医療少年院を仮退院したことについて、テレビ各局は10日昼ごろから一斉に報じた。
新聞各紙は多くが夕刊1面で扱った。毎日新聞は「少年事件での仮退院報道は極めて異例ですが、事前に社内で議論を重ね、報道することを決めました」とのおことわりを載せた。
インターネットでは早速、仮退院をめぐる情報が駆けめぐった。掲示板「2ちゃんねる」には昼前から、仮退院関連の投稿コーナーが出現し、夕方までに投稿は数千に達した。投稿では、男性の氏名や事件発生当時の写真と称するものを載せたり、新しい住居地を憶測して自治体名を挙げたりしている。
これに対し、法務省は「プライバシーを侵害し、平穏な改善更生と円滑な社会復帰を阻害する人権侵害行為だ」として、掲示板開設者に削除を依頼した。
この事件をめぐっては、97年に当時中学3年生だった男性の顔写真を週刊誌が掲載、法務省が「少年法に違反し、人権を侵す」として初めて出版社に対して雑誌の回収を勧告している。
田島泰彦・上智大教授(メディア法)は「仮退院は重要な出来事なので報道されるべきだが、元少年の更生、社会復帰という観点からするとすべてをさらけ出すのは問題がある。メディアは興味本位ではなく、事件の意味や教訓をきちんと伝え、私たち市民も冷静に受け止める必要がある」とした上で、「ただ、事件の被害者は一般人の知る権利と同じ利害ではない。元少年が更生をしても事件と関係がなくなるわけではなく、被害者には、より詳細な情報を開示すべきだ」と語る。(03/10 22:01)