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三菱自動車製のトレーラーから外れたタイヤの直撃を受け、横浜市の主婦が死亡した事故の2年半前の99年6月、広島県内で、同社製のバスの前輪が外れる事故が起きていたことがわかった。トラックなどのタイヤ脱落事故は以前からあったが、バスでは初めてで、一連の事故は「ハブ」と呼ばれる金属部品の破損が原因だった。神奈川県警は、過積載などユーザー側の問題が指摘しづらいバスでも事故が起きた時点で適切に対応していれば、その後の事故は回避できた可能性が高いと判断。同社が対応しなかった理由などについて調べる。
横浜市の事故では、歩道を歩いていた主婦(当時29)ら母子3人が死傷。県警は業務上過失致死傷などの容疑で捜査を続けている。
路線バスの脱輪事故があったのは横浜市の事故の2年半前。運行していた中国ジェイアールバス(広島市)などによると、広島県千代田町の浜田自動車道で、乗客9人を乗せて時速80キロで走行中の路線バスの運転手がハンドル操作に異常を感じ、直後にバスの右前輪がはずれた。タイヤは対向車線を横切り、道路脇の斜面の手前で止まった。バスは緊急停止してけが人はなかったが、重大事故につながる可能性があった。
朝日新聞社が入手した三菱自動車側の内部資料によると、同社は当時、この事故の重要度の区分を最高度の「S1」(直接人身事故につながるおそれがある極めて重要な影響を及ぼすもの)とした。
しかし、同社はバス事故の後も同種のハブを使用する大型車所有のユーザーに注意を呼びかけることはなかった。自主点検などの全国的なユーザー対応を始めたのは横浜市の死亡事故以降で、この間に同種のハブ破損事故が20件余り起きていた。
県警はバス事故について、(1)トレーラーなどと違って過積載は起きない(2)ほかの事業者に比べて整備不良は考えにくい——などの点に注目。これ以前にも同種事故が15件起きていたことから、「遅くともバス事故の時点で、ハブの欠陥を踏まえた対応をすべきだった」とみている。
三菱自動車側は一連のハブの破損事故について、「整備不良が原因と思われる」などと説明してきたが、県警は99年のバス事故はこうした三菱側の主張に反する事例とみて重視しており、中国ジェイアールバスに捜査員を派遣するなどして慎重に調べている。
三菱自動車を巡っては、00年にリコール隠しが発覚。警視庁は01年、同社と幹部9人を道路運送車両法違反容疑で書類送検し、同社と4人が罰金の略式命令を受けた。(03/11 15:55)