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2004年03月09日(火) 12時58分

社説2 警察は自浄能力を示せ日経新聞

 ウソは泥棒の始まり、という。泥棒を捕まえる警察がウソをついたのでは、たまらない。しかも国民の税金の使い道をめぐるウソだ。不正経理問題で、関係する警察本部と警察庁は、疑惑の真相解明と責任の追及、再発防止について、国民を納得させる説明をしなければならない。

 静岡県警は5日、95年度に使った旅費、食糧費のうち約1000万円が不正な支出だったとの調査結果を公表。実際に何に使ったか不明の分とその利息相当分の計約510万円を県に返還すると発表した。北海道警では95年、97年の報償費(捜査協力者、情報提供者への謝礼など)予算から裏金をつくっていた疑いが浮上し、近く内部調査の経過を中間報告する。道警は不適正な支出があったと認めざるを得ない情勢だ。

 同じような警察の不正経理疑惑は90年代後半から警視庁や愛知県警、宮城県警など各地で持ち上がってきた。従来は、捜査上の秘密を守るとか今後の警察活動に悪影響が出るなど、特有の事情を強調して、情報開示を拒んでいた。相次ぐ不祥事を受け警察の立て直しを目指して2000年に提言を出した警察刷新会議は、そうした警察の姿勢を批判し「予算執行の情報開示は最大限に徹底されねばならない」と注文した。

 「2000年までの一連の不祥事の後、我々は再スタートしたつもりだ」(警察庁幹部)という警察にとって今回の不正経理問題の処理は、本当に意識改革が進んでいるかを見る試金石になる。静岡県警、北海道警の問題は9年前、7年前に起きたことで、最も厳しい責任追及である刑事訴追には時効のカベがあるが、そこに逃げ込むことなく、真相を解明し誰がどんな責任を取るべきなのか、警察の判断を表明すべきだ。

 捜査に必要な経費は当然あり、領収書を取れない費用、渡した相手を明らかにできない支出があることは理解できる。警察庁は「支出先の領収書がなくてもカネの流れがチェックできる方法」などを考え、この4月から実行に移すとしている。情報開示と、捜査の秘密を守ることを両立させる算段をたてるのも「国民に開かれた警察」の課題だ。国民の信認がなければ、警察組織は立ち行かないのだから。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20040309MS3M0900Q09032004.html