2004年03月08日(月) 12時30分
浅田農産の会長夫妻が自殺(読売新聞)
今年国内3例目の鳥インフルエンザ感染が確認された京都府丹波町の「浅田農産船井農場」を経営する浅田農産の浅田肇(はじむ)会長(67)と妻知佐子さん(64)が8日朝、兵庫県姫路市豊富町神谷の同農産本社の鶏舎近くで、首をつって死亡した。
自宅から「たいへんご迷惑をかけました」などと書かれた遺書が見つかった。姫路署は、船井農場の届け出の遅れや感染拡大への責任を感じ、自殺したとみている。
同日午前7時40分ごろ、鶏舎近くの空き地のクスノキで、2人が首をつっているのを従業員が見つけた。2人は近くの自宅に運ばれたが、すでに死亡していた。
調べによると、空き地は本社事務所北側の鶏舎と資材置き場の間。2人は背中合わせの状態で首をつっていた。会長は会社の上下の作業着、知佐子さんはグレーの服とズボン姿だった。木の下には2つのプラスチックの買い物かごがあった。
浅田会長は7日午後、本社で浅田秀明社長(41)らと記者会見し、これまでの経緯などを聞かれ、「司法の場で明らかにしたい」と話していた。
浅田会長は、父親の養鶏業を引き継ぐ形で、1973年に会社を兵庫県佐用町に設立した。74年に本社を姫路市内に移し、翌年、浅田農産と改称、一代で年間売上高30億円を超える企業に育て上げた。2001年5月に日本養鶏協会の理事となり、昨年5月から副会長を務めていたが、鳥インフルエンザ問題での対応を批判され、先月28日に辞任を申し出た。協会側は、今月1日付けで解任通知を出していた。
知佐子さんは、浅田農産の役員を務めている。
民間の信用調査機関によると、浅田農産は5農場で、175万羽(昨年10月現在)を飼育している。
浅田農産については、京都府が家畜伝染病予防法の届け出義務違反容疑で府警に告発する方針を固めている。府の幹部の1人によると、「社長から事情を聞いたが、会長からはまだだった」という。
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浅田会長の自殺は、京都府が進めている告発の準備や告発を受けての府警の捜査へも影響が出そうだ。
府は死んだ鶏を埋める作業など防疫措置に一定のめどが立った段階で、告発する方針を固めていた。これを受け、府警も同農場や浅田農産本社など関係先の捜索に着手するとみられる。
7日から始まった鶏を埋める作業は早ければ10日ごろにも終了するが、防疫措置は今月中旬まで続く見通し。府はすでに、告発に向けた従業員らの事情聴取を進めており、告発の具体的な日程については農水省と協議、最終決定する。
一方、府警もすでに浅田秀明社長(41)らから事情を聞いており、鶏舎の写真撮影など基礎的な捜査を続けている。告発を受ければ、30人体制で本格捜査に切り替える。(読売新聞)
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