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とにかく、甘蔗(かんしゃ=さとうきび)から搾り取った糖液を、釜で煮て灰汁(あく)をとり、さらに煮詰めて得た白下(しろした)糖から蜜をとるために、木綿袋に入れて押槽(おしぶね)で圧搾。それを少しの水を打っては揉み、搾ってはまた揉むこと数日。いやはや誠にもって根気を手間のかかる作業で、精根も尽きるのである。
こうして、白下糖から取れる三盆糖はその3分の1しかならず、甘蔗を搾って出来上がるまでの約20日間は、ほとんどが砂糖に付きっきりで、睡眠もろくにとれないというから、大量生産というわけにはいかず、稀少価値が尊(たっと)ばれているのである。若し「食の世界遺産」というものがあったならば、堂々と推挙できるほどのものだ。
阿波和三盆は、一種独特の風味を有し、最大の特徴とする木目(きめ)の細かい粒子は、絶妙な粘調性を持つことになり、各種の菓子に使われると、それぞれに赤子の肌をさわったかのような感じとなる。それが味わう人の舌の上で至妙な風味と絶佳な感触として広がるのである。
和三盆は含蜜糖であるので、通常の白砂糖よりも天然成分が多く、カリウム、カルシウム、リンといった無機質(ミネラル)や、甘い香りを構成する香気成分も多含していて、それらが独特の風味を作り上げている。阿波和三盆を用いるか否かによって、和菓子の評価が定まるのだから、誠にもって幻の砂糖である。