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2004年03月03日(水) 00時00分

司法改革法案 審議は原点を踏まえて 東京新聞

 司法制度改革の論議の舞台が国会に移る。限られた会期に重要法案が集中する。充実した、かつ効率的な審議となるように、議員は「何のための改革か」という原点を肝に銘じてほしい。

 二日に行われた法案の閣議決定で十本の司法改革関連法案が国会に出そろった。刑事裁判に市民が参加する裁判員制度法案、被疑者の国選弁護、民事法律扶助の充実や弁護士過疎地の解消のために司法支援センターを作る法案など、いずれも司法を抜本的に変える画期的法案だ。

 戦後半世紀余、日本の司法は「法律専門家任せ」「狭い門戸」という基本構造のままで、役割をろくに果たしていないとして二割司法と言われてきた。今度の改革は「国民の役に立つ」「国民が使いやすい」「国民が信頼し支える」司法の実現を目指している。

 新しい制度、組織を設けるのだからそれなりの準備期間がいる。改革への意欲を維持して、新たな司法をスムーズに構築できるよう、効率的な審議で関連するそれぞれの法を今国会中に成立させたい。

 他に、法務省管轄の法案が十一本あるので衆参両院の法務委員会の審議日程は超過密になる。

 だからといって拙速審議は困る。法律専門家の主導で作成された政府案には、修正すべき部分、慎重に検討したい事項が何点もある。

 例えば、裁判員経験者の厳しい守秘義務は、市民参加で開かれた司法にする裁判員制度の狙いとは逆に、従来の“密室司法”に市民を引き込むことになりかねない。裁判員の過度な個人情報保護は、司法をブラックボックスにしてしまうだろう。司法支援センターの具体的可能性、効果には一抹の不安が残る。

 司法への国民参加、被疑者段階での国選弁護など改革の基本的方向は与野党に食い違いはないが、国会では公聴会も開いて広く国民各層の声を吸い上げ、新制度にもっと民意を反映させるべきだ。

 ただ審議時間に限りがある。会期は六月中旬まで三カ月余り、参院選があるので延長はできない。効率的に議論しないと審議未了で改革が遅れる恐れがある。

 そうならないために、各議員が司法改革の理念を十分理解し、法曹三者はもとより自分自身の目先の利害を離れて、司法利用者の立場で審議にあたらなければならない。

 国民のための、国民による、国民の司法の実現、言い換えれば「国民がこの国の主役であることを自覚した社会への転換」という改革の原点を踏まえた議論を期待する。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040303/col_____sha_____002.shtml