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2004年03月03日(水) 19時20分

ICカード、今年度で休止 登録者の利用、わずか0.7%−−上越市 /新潟毎日新聞

 ◇住民票写しなど取得に使用−−運営費、年間2400万円で効果低く
 ◇「住基」に引き継ぎを検討
 上越市は住民票の写しや印鑑登録証明書を取るのに使う「じょうえつICカード」を今年度限りで休止することを決めた。年間約2400万円の運営維持費がかさむ一方で、証明書交付の利用率がわずか0・7%と低迷し、費用対効果が低いと判断した。証明書発行サービスは、住民基本台帳カード(住基カード)に引き継ぐことが検討されている。【牧野哲士】
 ICカード事業は、経済産業省が情報通信技術(IT)振興の戦略事業として、県内では唯一上越市が指定を受け、02年2月にサービスが始まった。
 市役所、市民プラザに設置されている専用端末にカードを差し込み、所定の操作をすれば、住民票の写しや印鑑登録証明書が受け取れる。市民プラザの貸館利用申請もでき、協力する医療機関では国民健康保険証の代わりにもなる。カードの交付対象は18歳以上の市民で、市は希望者約5万5000人に無料で配布した。
 しかし、初回利用時に必要な暗証番号を登録した人は2375人にとどまった。利用率も住民票の写しが0・65%、印鑑証明は0・93%と極端に低迷。圧倒的に多くの市民がこれまで通り窓口で交付を申請していたことがわかった。
 専用端末やシステムにかかった約4億円は国の事業費でまかなわれたが、同市負担の年間2400万円の運営維持費が無視できず、中止を決めた。全国21地域の中で、利用が伸び悩んだことを理由に休止を決めたのは、初のケースだ。
 同市は、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)が本格稼働した昨年8月から、希望者に500円で、ICカードと同様のICチップを搭載した住基カードの交付を始めている。市は今後、ICカードで提供していた証明書交付サービスを住基カードに統合することを検討している。
 住基カードなら、住民票の写しを全国どこの市町村でも受け取ることができる。土橋均市民課長は「将来的に電子申請などのサービスが拡大すれば、市民の利便性が高まり、行政の効率化も実現できる」と統合のメリットを強調する。
 一方、同市が昨年11、12月にICカード利用者に実施したアンケートによると「費用を負担してまでカードを利用したくない」という意見が75%に上った。「住基カードに統合しても、カードの利用が高まるとは思えない」と断言する市職員もおり、先行きは不透明だ。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040303-00000001-mai-l15