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元最高裁長官・矢口洪一さんの著書「最高裁判所とともに」に「陪審制研究」という章がある。その章の小見出しに〈裁判へ市民参加期待——風土・国民性になじむか問題〉とある◆きのう「裁判員法案」が国会に提出された。陪審制そのものではないが、国民が刑事裁判に参加するということについての〈期待と問題〉は矢口さん指摘のとおりだろう◆「国民の健全な社会常識を刑事裁判に反映させる」ことに異論はない。だから法案提出まできた。が、提出ぎりぎりまで、法案の中身はもめた。いささか拙速の気味もある◆一月に公表された骨格案になかった文言「裁判員を辞退できるやむを得ない事由を政令で定める」が追加された。辞退できるかどうかは重要な所だが、これがあいまいな政令でいいのか◆この法案がまだ国民によく知られていないという問題もある。導入を目指すのは西欧型の陪審制ではなく日本型の裁判員制度だという。矢口さんは別の章「東は東」で、西欧と日本の裁判の違いも書いた◆〈期待と問題〉を調和させる一層の論議を期待する。