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明治から昭和にかけて活躍した演歌師に添田唖蝉坊(そえだ・あぜんぼう)がいる。せちがらい世相を風刺した歌「ああ金の世」に、次の一節がある◆「強欲非道とそしろうが がりがり亡者とののしろうが 痛くもかゆくもあるものか 金になりさえすればよい 人の難儀や迷惑に 遠慮していちゃ身が立たぬ」。当節、この歌が似合うのはヤミ金融の取り立て人ぐらいかと思っていたら、そうでもないらしい◆京都府丹波町の養鶏場「浅田農産船井農場」は鶏が連日大量に死んでいる事実を隠し、飼育中のほぼすべて二十四万羽を引き取るよう、兵庫県の食鳥処理業者に要請していた◆死んでからでは売り物にならない。「人の難儀や迷惑に遠慮していちゃ…」と歌いもしなかったろうが、結果を見れば、鳥インフルエンザのウイルスごと売り抜ける算段だったと疑われても仕方ない◆異常な大量死が役所への匿名の通報によって明るみに出るまでの一週間、船井農場は「腸炎と思いこみ、報告せずにいた」という。日本じゅうが鳥インフルエンザに戦々恐々としているときである。嘘(うそ)ならば出来の悪い嘘であり、本当ならば愚の極みだろう◆強欲非道であれ、ただの非常識であれ、いまさらののしってみたところで、拡散したウイルスが丹波町の鶏舎に戻るわけでもないが、ひどい業者もいたものである。