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鳥インフルエンザが発生した京都の養鶏場の卵が、コンビニエンスストアの弁当用の「ゆで卵」として出荷されていた。
卵を加工した神奈川県内の食品製造工場が、この事実を県に報告したのは、問題発覚から3日も過ぎた1日のこと。同県では「加熱済みの卵は安全」と冷静な対応を呼びかける一方、弁当の出荷先すらすぐに説明できないという混乱ぶりを見せた。「消費者の不安を増大させる」「もっと早く対応できなかったのか」——コンビニ業界からは困惑の声が上がった。
「厚木市内の食品製造工場から、鶏卵約6万3000個を自主返品したとの報告がありました」。午後6時から始まった記者会見で、神奈川県衛生部の担当者は、こう切り出した。
この工場は、先月20日と23日に浅田農産船井農場から計約5570キロの鶏卵を購入。このうち1770キロはゆで卵に加工され、同県や青森、愛知、大阪など12府県の計16の弁当製造業者に納入され、コンビニエンスストアなどで販売されていた。残りの3800キロの生卵は冷蔵保管されていた。
会見で県担当者は、「出荷先のコンビニエンスストアはどこか」などと問われても、「まだ把握できていない」と繰り返すばかり。担当者は「京都府からは、厚木市に出荷したという情報提供はなかった。こんなに早く県内で見つかるとは」と、驚きを隠さなかった。
厚木市内の食品製造工場から県厚木保健福祉事務所に報告が寄せられたのは1日午前11時ごろ。県はこの日から、県内の食肉処理業者や鶏卵問屋などを対象に、船井農場産の鶏肉や鶏卵を扱っていないかの調査を始めたところだった。
県が流通調査を開始したのが、京都府の鳥インフルエンザ感染問題の発覚から3日たっていたことについて、担当者は「土、日曜日を越えての調査開始となったことは申し訳なく思う。甘かったと言われれば」と言葉少なだった。
「卵にウイルスがついていたとしても、出荷した卵は加熱処理しているので一切心配ない」。問題の卵を納入した厚木市内の食品製造工場の本社(東京都世田谷区)では、経営企画担当の役員が説明にあたった。役員は「報道があるまで鳥インフルエンザが発生していることなど知らなかった。うちも被害者だ」と怒りに満ちた表情で話した。
一方、大手コンビニエンスストア「ローソン」(東京都)の広報担当者は、「早く処置していればこんなことにはならなかったのに」。ローソンでは問題の養鶏場の卵や肉は扱っていないというが、「消費者の不信感を助長することになってしまい本当に残念」と困惑をにじませた。
東京・千代田区のコンビニエンスストアで弁当を買っていた埼玉県川越市の男性会社員(30)は、「安全と言われても、やはり怖いので、今後は卵の入った弁当は控えると思う」と話した。
日本養鶏協会の島田英幸専務理事は、「卵の流通は広域にわたっているため問題の農場の卵が関東圏に出荷されていても不思議はない。ただ、農場からダイレクトに出荷されていたのに、今まで把握できなかったのであれば問題で、流通先をきちんと整理しきれてない生産農家のずさんさをうかがわせる」と話した。