悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。
また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。
地下鉄・松本両サリンや坂本堤弁護士一家殺害など13事件で計27人を死なせたとして、殺人などの罪に問われたオウム真理教元代表・松本智津夫(麻原彰晃)被告(48)の判決が27日、東京地裁であった。小川正持裁判長は、一連の犯行について松本被告の指示だったと認定。「不特定多数への無差別テロにまで及んだ一連の犯罪は、救済の名の下に日本国を支配しようと考えたもので、極限ともいうべき非難に値する」と述べ、検察側の求刑通り被告に死刑を言い渡した。
松本被告の国選弁護団は判決を不服として即日控訴した。
判決は、13事件すべてを有罪と認定した上で量刑の理由を説明。「動機・目的はあさましく愚かしい限り」「弟子たちにことごとく責任を転嫁し、刑事責任を免れようとする態度に終始した」「被害者・遺族に対する一片の謝罪の言葉も聞けない」などと厳しい言葉で指摘し、死刑で臨む以外にないと結論づけた。
主文を後に回した小川裁判長は、午前中の理由の朗読で、89年11月に起きた坂本弁護士一家殺害事件に言及した。
教団に批判的だった坂本弁護士について「放っておけば、最終解脱者を自称する自身が打撃を受け、出馬する次回の総選挙にも悪影響を及ぼす」と考え、故・村井秀夫元幹部らに殺害を指示。横浜市のアパートに行った実行犯から、電話で玄関ドアの錠があいている状況などの連絡を受けると、「家族も一緒にやるしかないだろう」と言って一家3人の殺害を指示したと認定した。
この後、サリン製造など教団武装化の経緯に移った。「70トンのサリンを東京に散布して首都を壊滅し、国家権力を打倒して日本にオウム国家を建設して自ら王となって支配することをもくろんだ」と動機を指摘。サリンの殺傷能力を確かめるため、オウム支部の建設に反対する住民が起こした訴訟を審理する長野県松本市の裁判所を襲うことを考え、「裁判所にサリンをまいて実際に効くかやってみろ」と幹部らに指示し、94年6月にサリンが散布された、と認定した。
午後に入って、95年3月に東京の営団地下鉄3路線5車両でサリンがまかれ、12人が死亡、5500人以上が負傷した地下鉄サリン事件について言及した。事件2日前、松本被告と弟子たちが乗ったリムジンの車中で、間近に迫った強制捜査への対応を協議。村井元幹部が「サリンをまけばいい」と提案すると、松本被告は「それはパニックになるかもしれないなあ」と同意し、村井元幹部に総指揮を命じた。遠藤誠一被告にサリン製造を、井上嘉浩被告にも現場指揮を指示し、この時点で共謀が成立したと認めた。
一審判決まで7年10カ月、公判期日257回という長期裁判だった。これで一連のオウム公判で起訴された189人の一審判決が出そろった。死刑判決を受けたのは12人目となった。(02/27 18:50)