悪のニュース記事

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2004年02月28日(土) 00時00分

極刑判決が出ても、みんなの本当に知りたいことが分かったわけ… 東京新聞


 極刑判決が出ても、みんなの本当に知りたいことが分かったわけではない。目的地への通過点にすぎない、との被害者の気持ちは痛いほどに分かる。昨日の判決は、オウム事件の真実をどこまで裁いたのだろうか▼世界にも例がなく、最も反社会性の高い地下鉄サリン事件については、具体的なイメージが浮かんでこない。「七十トンのサリンを東京にまいて首都を壊滅し、国家権力を打倒して日本にオウム国家を建設し、自ら王となる」という麻原教祖の妄想が、いかにしてあのような現実となるのだろうか▼麻原被告の一審判決までに、なぜにかくも長い年月を要したのだろうか。最高裁までの長い道程を思えば、真実は闇の中である。素朴な疑問が次々浮かぶ。「やはり、分からずじまいになるのではないか」の思いが広がるなかで▼麻原被告は、ゆえなき沈黙を続け、法廷ではうすら笑いさえ浮かべている。法廷での不真面目(まじめ)さにあきれ、傍聴をやめた地下鉄サリンの被害者もいる。法廷での撮影ができないとはいえ、この歴史的裁判の実態を後世に残す努力がもっとなされてもいいのではないか▼弟子に責任をおしつけ、自ら恥じることもない「宗教家」の素顔はあまりにもおぞましい。そして、なぜに有為の若者がそれについていったのか。判決では納得できる解明を得ていない▼そして、このような犯罪を生んだ「われわれの時代」への問いかけが次々と浮かんでくる。オウム事件の解明がおろそかにされてはなるまい。われわれ一人ひとりの問題として。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20040228/col_____hissen__000.shtml