2004年02月27日(金) 20時34分
鶏肉や卵、毎日でも心配ない 京都市立病院感染症科部長に聞く(京都新聞)
東南アジアを中心に発生している高病原性鳥インフルエンザが、京都府内でもみつかり、詳しい検査が進められている。有効なワクチンがなく、人へのウイルス感染も懸念されている。本当に大丈夫なのか、感染症問題に詳しい清水恒広・京都市立病院感染症科部長に聞いた。
−人への感染の危険はないのか。
まず「高病原性」とは人ではなく、鳥に対してつけられている。鳥インフルエンザはその名の通り、鳥の間で広まるのが本来の感染ルートだ。
タイやベトナムで報告された人への感染例は、日常生活の中で鶏に濃厚に接触しているケースだった。多くは鶏の排せつ物や内臓などに接触したと考えられている。従って、養鶏業に従事していない人が、感染する危険は低い。人から人への感染が疑われた例はあるが、今のところ確証は出ていない。
−鶏肉や卵を食べ続けても大丈夫なのか。
大丈夫と思われる。人のインフルエンザと同じく、気道を通した飛まつ感染や接触感染が基本なので、通常の清浄な環境で生産された製品で、排せつ物や血で汚れていない限り食べても感染しない。
WHO(世界保健機関)によると、中心温度が70度以上になるように加熱処理したものを食べるように薦めている。今のところ、食べ物を介して感染した報告例はないので、毎日食べ続けたとしても心配する必要はほとんどない。
−家庭菜園で鶏ふんを肥料に使っているが。
確かに、感染した鶏の排せつ物には大量のウイルスが含まれる。詳しい製造過程は分からないが、長期にわたって鶏ふん中のウイルスが生き続けることはない。
例えば、感染した鶏の排せつ物を20度で保存した場合、1週間ウイルスが生存、さらに4度で30−35日生存したという報告がある。しかし、大量に鶏ふんを気道から吸い込む場面があるとは考えにくい。
−感染すると、どのような症状が出るのか。
大きく分けて、鳥インフルエンザは香港などで発生したH5型と、オランダなどで発生したH7型の2種類がある。H5型は、発熱や咳(せき)など人のインフルエンザとよく似た症状を示し、重症になると多臓器不全に陥る症例もあった。これに対して、H7型は結膜炎が主な症状で、呼吸器の症状も比較的軽い。
−どのような診断法や治療法があるのか。
鳥インフルエンザはH5型もH7型も、人のインフルエンザA型と同じタイプだ。病気の鳥と濃厚な接触歴があり、迅速診断キットでA型と分かれば、疑ってみる必要がある。ただし、人のインフルエンザの潜伏期間は1−3日間に対して、鳥インフルエンザは3−4日間といわれる。少し長く経過を見なければならない。ワクチンはないが、治療法はある。通常の人のインフルエンザで用いられるタミフルのような抗インフルエンザ薬に効果があるだろう。
−鳥のペットは心配ないか。
短期間で大量に鳥が死んだ場合は、鳥インフルエンザを疑う必要もあるが、1匹や2匹が死んだ程度では心配はない。鳥かごを清潔にし、鳥に触れた後、よく手洗いやうがいをするよう心がけておけば大丈夫だろう。 (京都新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040227-00000173-kyt-l26