2004年02月24日(火) 14時37分
大分鳥インフルエンザ発生から1週間 不安感 今もなお 相談件数800件超(西日本新聞)
大分県九重町の民家で十七日、ペットとして飼われていたチャボの高病原性鳥インフルエンザへの感染が確認されてから一週間がたった。大きな不安に覆われた市場や食卓は、落ちつきを取り戻しつつあるのか。福岡県内の現状を探った。
■生産者
福岡市内のスーパーやレストラン約八十店舗に鶏肉を卸しているフクチュウフードシステム(福岡市博多区)では、鶏肉の受注が約二割落ち込んだ。タイや中国の鶏肉輸入停止措置が続き、本来なら国内鶏肉の需要が高まるはずだった。福岡県畜産課によると、一月の鶏肉一キロ当たりの価格は、前年比八十九円安の六百四十五円。松田次郎社長は「四十年以上やってきて、こんなことは初めて。一日も早く需要が回復してほしい」と願う。
一方、昨年末の生産過多で平均相場が低調な鶏卵。JA全農畜産販売部鶏卵課は「鳥インフルエンザの発生がなければ相場はもう少し上がっていたかもしれない」と推測する。しかし、市場価格は少しずつ上昇傾向にあり、「価格が回復する兆しはある」と期待する。
■売り場
ダイエー福岡事務所(福岡市博多区)によると、同社が九州で展開する四十六店舗で扱う鶏肉は国内産が九割、残る一割はブラジルなど海外産が占める。
国内産の大半は鹿児島県産や宮崎県産。鶏卵も福岡県産や熊本県産が大多数を占めるため、同社広報課は「商品の供給が間に合わないなどの混乱は生じていない」と話す。同社の一月の鶏肉の売り上げは前年比一割減と落ち込んだが、二月に入ってからは回復傾向にあるという。
一方、百貨店・大丸(同市中央区)では十九日に始まった全国うまいもん大会で「親子丼」(千五百円)を二十四日まで一日限定二百食販売。これまで連日夕方までには売り切れたという。担当者は「鳥インフルエンザの影響はない」と胸をなで下ろしている。
■自治体
福岡県は県内五カ所の家畜保健衛生所と畜産課の計六カ所に鳥インフルエンザの相談窓口を設置。十八日以降、相談件数は一日平均百件を超え、約八百八十件の相談が寄せられた。特に、ペット用に飼育している人から「鳥を引き取ってもらえないか」「処分してほしい」との相談が増えた。
田川市農政課は養鶏農家など鳥飼養者と消費者に注意を呼び掛けるちらしを作製、市の広報紙(三月号)に折り込み各戸に配布する。
また、同県教委は山口県で発生後、小中高校計千二百八十校に校内で飼育する鳥類の衛生管理や児童生徒の手洗い、うがいの徹底を求める文書を送付していたが、県畜産課と協力して各校での飼育状況の調査も開始した。
北九州市教委や久留米市教委は文書で鳥を飼育する学校に、鳥小屋の衛生管理、野鳥の侵入防止のためのフェンスの取り付けと確認—などを徹底させる指示をしている。
学校給食では、八女市や小郡市など、鶏肉納入業者に産地を確認させているところもある。
■動物園
北九州市小倉北区の到津の森公園は一月十六日から、鳥を飼育している「バードケージ」の入り口に消毒薬を置き、入場者は手や足を消毒してケージに入るようにしている。九種三十羽の水鳥を同ケージ裏側のバックヤードに隔離中。
福岡県久留米市の市鳥類センターも今月十八日から、五種約三十羽の日本鶏を展示から外し、バックヤードでの飼育に切り替えている。同センターでは入園者の餌やりを禁じているが、持ち込んだ菓子類などを鶏についばませる客もおり「万一の場合を想定し、入園者が鶏に接触できないようにするため」という。同センターも入り口に足踏み式の消毒マットや、手指消毒用のアルコールを設置している。(西日本新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040224-00000076-nnp-kyu