2004年02月24日(火) 22時41分
<法務省>医療ミスの判決、厚労省に情報提供へ(毎日新聞)
医療ミスなどで医師や歯科医師の刑事罰が確定したことを厚生労働省が把握できず、大量の行政処分漏れを起こしていた問題で、医師らが起訴されたり、判決を受けた事実を法務省が厚労省に通知することになった。厚労省が24日に発表した。法務省はすでに全国の検察庁に指示し、運用を始めた。法務省が個別の刑事処分を他省庁に情報提供するのは初めてだが、国民の医療不信が高まり、厳正な処分のためには必要と判断した。
情報提供するのは全国の50地検と8高検、最高検。医師、歯科医師について起訴(略式も含む)した時点で検察官が起訴事実の要旨を法務省に連絡する。さらに裁判所で判決(控訴審、上告審も含む)や略式命令が出た際にも同様に内容を伝え、同省刑事局を通じて厚労省医政局に通知する。
厚労省は、罰金刑以上の刑が確定したり、診療報酬の不正請求があった医師、歯科医師について、これまで医師免許取り消しや業務停止の行政処分を求めて厚労相の諮問機関「医道審議会」に諮ってきた。処分の対象になる医師らの情報は、同省医事課が都道府県を通じて集めているが、大半を新聞記事に頼っているのが実情。罰金刑の医療事故などは報道されないことが多いため、把握しきれないケースが相次いでいた。
法務省は当初、厚労省からの情報提供要請に「事件が無数にある中で、医師らの事件だけを調べて通知することは多忙で難しい」と慎重だった。しかし、医療事故が多発する中で、法務省も「問題のある医師への行政処分は時代の流れであり、協力する必要がある」として姿勢を変えた。厚労省は「法務省の情報を得られることになったので、きちんと処分する」と話している。
毎日新聞は、85年から99年までに医療ミスで業務上過失致死罪などの刑事罰が確定した医師38人のうち、21人が処分漏れになっていたことを00年に報道した。これをきっかけに両省の協議が始まっていた。【江刺正嘉】(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040225-00000074-mai-pol