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薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われ、一審・東京地裁で無罪判決を受けた帝京大元副学長・安部英(たけし)被告(87)について、東京高裁(河辺義正裁判長)は23日、元副学長が心神喪失状態にあるとして刑事訴訟法に基づき公判を停止する決定をした。97年3月の初公判以来、7年近くにわたる公判は事実上、元副学長の最終的な刑事責任が確定しないまま終結する見通しとなった。
弁護側の申し立てにより実施された元副学長の精神鑑定結果を踏まえ、河辺裁判長は「脳血管性障害による痴呆(ちほう)に心疾患等の身体的障害が加わり、高度の痴呆状態にあると認定するのが相当だ」と決定理由を述べた。裁判長自ら16日に元副学長と面談して病状を確かめ、刑事裁判を続ける能力はないと判断した。
「官・業・医」の複合過失と言われ、500人を超える死者を出した空前の薬害事件。元副学長は血友病治療の第一人者として、治療方針に関して医療現場に大きな影響力を持っていた。
起訴状によると、元副学長は非加熱製剤の危険性が認識できた85年になっても、血友病患者1人に同製剤を投与し続け、その後エイズ発症により死亡させたとされた。
元副学長の弁護人によると、昨年4月ごろから持病の心臓病の治療のために入退院を繰り返すうちに精神状態が悪化し、通常の会話が不可能な状態に陥ったという。控訴審の審理は証拠調べを終わり、最終弁論を残すだけだった。
「薬害エイズ・厚生省ルート」で同罪に問われている元厚生省生物製剤課長の松村明仁被告(62)については一部有罪の一審判決が出ており、東京高裁で控訴審が続いている。(02/23 12:03)