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改正案を大きく分ければ、柱は二つになろう。一つが課徴金で二、三倍に引き上げる。ほかに、通信や電力などの公益事業に新しい企業が参入しやすい仕組みを取り入れる。
狙いは、企業間の競争を促して経済活動を活性化する。結果として消費者の利益を確かなものにする環境づくりである。
公正取引委員会のこの案に、産業界や自民党内に反対の声が強い。規制の強化だからという。
そうだろうか。企業の活動が地球規模に広がる中で、むしろ時代の流れに沿っているのではないか。
方向は間違っていない。
例えば談合などの違反行為への課徴金の引き上げである。
現在、不当利得として売上高の最大6%を没収しているが、一向に後を絶たない。水道メーター業界などは二回、三回と繰り返し刑事告発までされている。これが市場の実態だ。
市場に求められているのは自由と透明、公正さだろう。ならば、低すぎるとの指摘もある課徴金を大幅に上げて、談合やカルテルへの抑止力を高める。当然ではないか。
反対の論拠として憲法(二重処罰禁止)に触れるのでは、との話も出ている。が、この種の行政処分には脱税への重加算税もある。談合による社会的損失分も加え引き上げても欧米並みの水準だ。社会的損失分の加算は妥当で問題にはなるまい。
口を開けば産業界は競争の自由をいい、企業の社会的責任に法の順守を挙げている。族議員も同じだ。なのに反対では筋違いも甚だしいではないか。「違反に厳しく」は市場に欠かせないルールだろう。
もう一つの柱、公益事業に参入しやすい仕組みの導入にも同じように警戒や反発が強い。これも消費者利益を高めるのに役立つと思うが、既存業者はいまの事業法で十分、二重規制ではないかという。業種によっては、そんなケースもあろう。
事業法で足りるのなら新たな仕組みも必要あるまい。だが、新参者が通信・送電網を利用する際、有形無形の妨害があるから文句も出るのではないか。二重規制なら事業法を変えたらよい。
国会でもただされたが、時代にあった競争政策の確立は小泉内閣の公約でもある。改正案が目指すのは透明で公正な市場であり、番人としての公取委の責任と役割の強化だ。ここでも首相の実行力が問われる。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040223/col_____sha_____002.shtml