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オウム真理教による松本、地下鉄両サリン事件で警察庁の化学捜査に協力した米国の学者が、国内初の「危機管理学部」を目玉に4月に開校する千葉科学大学(千葉県銚子市)の客員教授になる。
コロラド州立大学名誉教授(毒性学)のアンソニー・トゥー(杜祖健)氏(73)。春と秋に集中講義をする予定だ。
危機管理学部は、災害やテロなどの際に活躍できる危機管理のプロフェッショナル養成が目的。同大は「毒物の専門家で、オウム捜査にも協力したトゥー氏は、危機管理と薬学の2学部を持つ大学に打ってつけの人材。学部を超えた形で迎える」としている。
台湾出身で日本語に堪能なトゥー氏は94年6月の松本事件後、「現代化学」(東京化学同人)にサリン関連の記事を執筆した。同年9月、記事を見た警察庁科学警察研究所の技官から「サリンの加水分解物などに関する毒物データが不明」と、捜査に協力を求めるファクスが届いた。
トゥー氏は知人を通じて分解物に関する米軍の資料を三十数枚入手して送った。
その後もやりとりは続き、同月30日付の科警研からの送信に「いただいたデータから、鑑定上の分析条件その他注意すべき点が把握できた」と記されていた。この秋、警察は山梨県上九一色村の教団施設近くから採取した土壌を分析し、問題の分解物を検出することに成功。教団とサリンが初めて結びついた。
トゥー氏は「94年末の段階で、教団とサリンを結びつける化学的な証拠があった。ここで行動すれば、地下鉄事件は防げたはずだ」と悔やむ一方、「日本の捜査に協力できたことは誇りだ。自分の知識を日本の学生にも伝えたい」と話す。(02/23 17:37)