2004年02月23日(月) 19時58分

＜安部被告公判停止＞「本当に残念」　川田龍平さんが会見（毎日新聞）

　薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われた元帝京大副学長、安部英（たけし）被告（８７）の控訴審の公判停止が２３日、決定されたのを受け、東京ＨＩＶ訴訟原告の川田龍平さん（２８）＝松本大非常勤講師＝が記者会見で「本当に残念。怒りの矛先をどこに向ければいいのか」と無念さをにじませた。

　東京都内で記者会見した川田さんは、「元副学長は一度も謝罪していない。責任を分からせる意味でも、有罪判決が必要だった」と語った。

　昨年１２月１６日の法廷。河辺義正裁判長が「当時、（エイズに関する）情報を最も入手できた医師は誰ですか」とただすと、弁護側の証人である風間睦美・元帝京大教授は「安部先生じゃないかと思います」と答えた。控訴審に「今度こそ徹底解明と有罪を」と期待をかけていた川田さんは、「有罪に傾いている」と感じたという。

　８３年６月の第１回エイズ研究班会議で「毒が入っているかもしれない、と思いながら注射している」と発言した元副学長。１審では体調不良で被告人質問を受けず、２審には出廷していない。

　川田さんはこれまで、被害者の先頭に立って「薬害の再発防止のため、医師の責任を明確にしなければならない」と訴え続けてきた。それだけに、事実上の裁判終結に落胆は大きかった。【小林直】（毎日新聞）

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040224-00000056-mai-soci