悪のニュース記事

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2004年02月21日(土) 00時00分

おれおれ詐欺 お年寄り守る手だてを 東京新聞

 「おれおれ詐欺」が広がっている。高齢者の自衛策だけでは限度があろう。近隣社会や金融機関にも高齢者を守る姿勢がほしい。悪用される不正口座の開設、転売を厳しくチェックする必要もある。

 「おれおれ詐欺」などの振込先となる銀行口座を大量に開設、千四百口も転売していたグループが、警視庁などに詐欺容疑で逮捕された。

 「一支店に一口座」「預金額は百円」−逮捕されたグループはこうした銀行マニュアルを作って、金融機関の目を逃れようとしていた。

 子や孫を装った「おれおれ詐欺」は、ますます組織化、巧妙化している。いたちごっこだ。

 警察庁によると、おれおれ詐欺は二〇〇三年の一年間に六千五百四件あり、被害総額は実に四十三億千八百万円にのぼる。

 詐欺の口実は(1)交通事故示談金(2)消費者金融などの借金返済(3)妊娠中絶手術費−の順に多い。

 家族や地域との関係が薄いお年寄りは、電話だけで簡単に信じてしまう。家族や近所の人たちが声を掛けて、被害に遭わないよう注意を促しておくことが欠かせない。

 横浜市港南区役所は高齢者に注意を促す「おれおれ詐欺予防シール」を作り、電話口に張るよう高齢者世帯に配り始めた。「名乗らない」「あわてない」「事実を確認する」「振り込む前にまず確認」のわかりやすい対策を呼びかけている。参考にしたい。

 金融機関の対応も大切になる。振り込みにきた高齢者に窓口の係員が事情を聴き、身内に確認して被害を未然に防いだ例がある。

 不正口座のもとを断つことも重要だ。口座開設時に名義人の身元を確認するよう金融機関に義務づけた本人確認法が昨年一月に施行されたが、徹底してほしい。転売には強制解約の手段で対応できる。

 さらに同一人が低額で多くの口座を開設する場合、窓口で不審点をチェックし、やすやすと開設させない対策をとりたい。プライバシーへの配慮はいうまでもない。

 警察も、「通帳を譲渡しない」との口座開設の約款を根拠に、取り締まりに乗り出した。転売意図を隠して口座を開設し、銀行から通帳などを入手した行為が詐欺に当たるとの判断である。

 全国銀行協会も警察との連携を深めているが、口座売買の罰則規定がないのが壁ともいえる。売買を規制する法的処置を検討したらどうか。

 おれおれ詐欺は高齢者を狙った卑劣な犯罪だ。関係機関は予防対策に本腰を入れてほしい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040221/col_____sha_____003.shtml