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山口県に続き、大分県で17日、鳥インフルエンザの発生が確認された。日本国内での感染は「ウイルスが国外から持ち込まれた」とする見方が有力だが、離れた地点での相次ぐ発生に、感染ルートの謎は深まるばかりだ。(社会部 鈴木敏昭、科学部 安田幸一)
両県の発生場所は約150キロ・メートル離れていることなどから、農水省は、2つの発生は関連がないという見方を強めている。
山口県の感染では当初、鳥インフルエンザが大流行した韓国と近いことから、「渡り鳥が媒介した」という説がささやかれた。だが、「渡り鳥が鶏舎に近づき、鳥同士が接触することは考えにくい」との観点から、専門家は、人や物に付着して持ち込まれた可能性の方を有力視していた。杉村崇明・元鹿児島大教授(ウイルス学)も「人の靴や衣類などに付着して持ち込まれた可能性が高いのでは」と話す。
しかし、大分県での新たな発生は養鶏場ではなく、庭先で飼っていたペット用のチャボ。農水省は「飼料や鶏卵の運搬などによる人の出入りはないと思うのだが……」と首をひねる。
もし、人などに付着して持ち込まれたとすると、両県で「同一人」が原因とは考えにくいだけに、複数のルートが考えられることになる。杉村元教授は「交通網の発達で、思わぬところから、いつポンと病気が入ってくるか分からない。国際的に協力して解明を進めることが重要だ」と話す。
アジアを中心とする世界各地での流行も、どこが“震源地”か依然謎のままだ。国際獣疫事務局(OIE)によるとアジアの11の国、地域で鶏の感染が見つかり、ベトナム、タイでは計28人が感染、うち20人が死亡した。
世界の研究機関でウイルスの遺伝子構造を調べるなど、感染ルートの解明に取り組んでいるが、山口県のウイルスとベトナムや香港のウイルスは違うことが判明するなど、流行の「点」を「線」で結ぶには至っていない。
鳥インフルエンザは過去20年間でアジアや欧米で散発的に発生しており、尾身茂世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局長は「このウイルスは、アジア各地に過去から存在していたものと考えるべきだ」と話す。ただ、日本の場合は79年ぶりの発生であることや、今のところ流行が限定的であるため、専門家の間では、やはり「ウイルスは国外から持ち込まれた」との見方でほぼ一致している。
農水省の家きん疾病小委員会の委員長を務める北大大学院の喜田宏教授(獣医学)は「山口県の例だけでは侵入ルートは解明しきれないが、今後、大分県のウイルスを詳しく調べれば絞り込めるかもしれない」と話している。