2004年02月18日(水) 00時00分
架空請求巧妙化、口座閉鎖逃れに新手口(朝日新聞・)
債権回収業者を名乗ってはがきなどを送りつける架空請求事件で、はがきに振込先の口座番号を記さず、被害者に電話をかけさせて口座を伝える新たな手口が増えている。架空請求は全国で多発し、金融機関側が、架空請求や「オレオレ詐欺」に悪用される不正口座対策に積極的になっている。だが、新たなやり方では、証拠になる口座番号が残らない。口座の取引停止や閉鎖を免れるために巧妙な方法を編み出したとみられ、福岡県警は注意を呼びかけている。
県警折尾署には昨年、金融機関から債権回収を依頼されたなどとする架空請求の相談が数百件あった。当初は口座番号と金額をはがきに明示して振り込むよう求めるものが多かったが、昨年後半からは口座の代わりに携帯電話番号が記されたはがきが増えた。今年に入って寄せられた約100件の相談は、口座が書かれていないはがきばかりだという。
この場合、電話をかけなければ口座がわからないため、はがきを証拠に口座の取引停止や閉鎖を金融機関へ求めることができない。同署幹部は「口座を閉鎖されれば金を取れないから、手口を『進化』させたのだろう」と話す。
国民生活センターによると、架空請求は00年度から増え始めた。同センターや全国の消費生活センターに寄せられた相談は、同年度が761件だったのが02年度は1万8412件、03年度は1月20日現在で7万件を超えた。相談せずに支払ってしまった人などを加えると、件数は数倍に膨らむとみられている。
警察は詐欺事件として捜査しているが、使われた口座は違法に転売された架空名義のものなどが多いため、容疑者まで突き止めるのは難しいことが多いという。
このため、全国銀行協会が昨年9月、不正使用された口座について取引停止や閉鎖を申し合わせるなど、金融機関側は対策を積極化。警察とも連携し、架空請求のはがきに記された口座の取引停止や閉鎖などを進めていたところだった。
新たな手口では、使用される携帯電話番号も不正に入手したものが使われているといい、持ち主が分からず、容疑者にたどりつきにくい。県警幹部には「被害をなくすためには不正取引に使われた携帯電話を利用停止にするなど、携帯電話業界の協力を求める必要がある」とする声も出ている。
県警は「正規の債権回収業者なら、はがきではなく配達証明郵便などを利用する。不審な請求には安易に応じず警察へ相談を」と呼びかけている。
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http://mytown.asahi.com/fukuoka/news02.asp?kiji=5970
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