2004年02月16日(月) 21時40分
盗難通帳で引き出し5億4千万返還を、100人が提訴(読売新聞)
盗まれた通帳で預金を引き出された被害者約100人が、銀行や信用金庫など44の金融機関を相手取り、「本人確認を怠った過失がある」として総額5億4259万円の返還を求める113件の訴訟を16日、東京、大阪、札幌など全国11地裁に一斉に起こした。
被害対策弁護団による同様の「過誤払い訴訟」は一昨年9月以降、計4回にわたって102件起こされているが、今回が最大規模。これで請求総額は12億円を超えた。
今回の提訴は、関西地方が27件、東海地方が20件に上ったほか、北海道、東北地方で初の提訴となった。今回の訴訟の7割以上は、通帳に押された照合用の届け出印(副印鑑)を基に印鑑を偽造され、窓口で引き出されたケース。平均被害額は約600万円で、1度に3000万円を引き出された例もある。
1971年の最高裁判決では、「偽造印鑑でも、相当な注意をして肉眼で印影を並べて見れば、銀行側の過失は問われない」とされた。この判例の影響もあり、一昨年までは多くの訴訟で銀行側が勝訴していた。
しかし、最近では、東京地裁が昨年12月、「印影をスキャナーなどで簡単に複写できる社会情勢の中、窓口での受け答えなどを総合的に検討して本人確認する注意義務を怠った」として、金融機関に全額支払いを命じるなど、原告勝訴の判決が増えつつある。
訴訟の増加などを受け、多くの銀行は副印鑑の廃止など再発防止策を実施している。被害対策弁護団は、「システムの欠陥を認めながら、過去の被害救済に乗り出そうとしない銀行側の姿勢を、訴訟によって改めさせたい」としている。(読売新聞)
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