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2004年02月16日(月) 06時00分

海外生産の邦楽CD、国内への還流禁止 著作権法改正へ朝日新聞

 アジアで生産・販売された日本の音楽CDが国内に逆輸入され、格安価格で販売されていることから、政府はこうしたCDの還流を禁止する方針を固めた。1月に韓国で日本語音楽CDの販売が解禁されるなど、アジアで日本生まれソフトの市場が拡大するにつれ、還流も急増が予想されている。音楽産業の衰退につながるとして、レコード業界が還流防止策を求めていた。

 文化庁、公正取引委員会など関係省庁で最終調整し、18日に与党に骨子を示し、今国会に著作権法改正案を提出、05年1月の施行をめざす。還流防止策は65カ国が導入しており、先進国では日本だけ制度がなかった。

 国内のレコード製造会社で作る日本レコード協会によると、アジアで売られる邦楽CDは、550〜1600円程度で、国内価格に比べ、最も安くて6分の1程度。一部が還流し、ディスカウント店などで通常価格より1000円程度安く売られている。今後、還流CDは02年の68万枚から、12年に1265万枚に膨らむと予測している。

 改正案で輸入禁止の対象となるのは、レコード会社が現地企業に対し販売地域を限定し、日本で販売しない条件で生産・販売を認めた音楽CDやレコード、カセットテープ。著作権を侵害する海賊版と異なり、現行法では輸入は合法だった。

 改正後は販売目的で輸入すれば著作権侵害とみなされ、レコード会社の申し立てに基づき税関で輸入を差し止められる。

 海外旅行のみやげ品として持ち帰るなど、販売目的でない場合は、従来通り認められる。日本のレコード会社がコスト削減のために、アジアの工場で生産し、日本に輸入するのも対象外。

 一方、欧米レコード会社が世界各地で生産し、日本が輸入している洋楽のCDも、理論上は還流禁止の対象になる。しかし、レコード協会は「全世界を市場とする欧米会社が、販売地域を限定したCDを発売することは考えにくく、実質的に還流禁止の対象にならない」としている。

 音楽CDは再販売価格維持制度に基づき、価格が6カ月から1年間固定されている。消費者団体は「再販制度に還流禁止が加わると、価格競争がなくなり消費者が損をする」と、導入に反対している。このため、文化庁や経済産業省は業界に対し、再販期間の短縮や通常価格の引き下げに努力するよう促す。(02/16 06:00)

http://www.asahi.com/business/update/0216/038.html