2004年02月13日(金) 11時49分
<馬名使用訴訟>「馬にパブリシティー権ない」 最高裁が初判断(毎日新聞)
オグリキャップなど競走馬の名前を無断使用したゲームソフトの販売は、馬主が馬名を商品化する権利(パブリシティー権)の侵害だとして、6法人と13人の馬主がゲームソフトメーカー「テクモ」(東京都千代田区)に約800万円の損害賠償などを求めた訴訟の上告審判決が13日、最高裁第2小法廷であった。滝井繁男裁判長は「法令の根拠がないのに、パブリシティー権を認めることはできない」と初判断を示し、1、2審判決を破棄して馬主側の請求を棄却した。馬主側の逆転敗訴が確定した。
アイドル歌手ら著名人にパブリシティー権を認める司法判断は定着している。この権利が人以外に認められるかについて、名古屋地、高裁は権利を認めたが、別のゲームソフトを巡る訴訟では、東京地、高裁が正反対の判断を示しており、最高裁判決が注目されていた。
同小法廷はまず「物の名称の使用については、各法律が使用権の及ぶ範囲、限界を明確にしている」との見解を示した。そのうえで、「(馬名の)無断使用について、法令等が明確になっているとは言えない現時点では、馬主の独占的な利用権は認められない」と述べ、馬主側が求めた賠償請求と販売差し止めをいずれも退けた。
問題になったのは「ギャロップレーサー」と「ギャロップレーサー2」。トウカイテイオーやビワハヤヒデなど実在の競走馬の名前や特徴を再現した馬を操るゲームで、96年以降6作が発売され、100万本以上を売り上げるヒット作となった。
テクモによると、同社は一定の馬名使用料を支払うことを馬主側に提案したが、折り合いのつかなかった馬主との間で裁判になった。現在も訴訟に参加していない馬主には使用料を払っているという。
名古屋地裁は00年1月、G1レース出走馬の馬主に権利を認め、テクモ側に約340万円の支払いを命じた。同高裁は01年3月、権利をGIレース優勝馬の馬主に限定し、賠償額を約230万円に減額した。一方、「アスキー」(渋谷区)が販売したゲームソフト「ダービースタリオン」を巡る訴訟では、東京地、高裁が「馬名を使用しても所有者の人格権は侵害されない」と、馬主側全面敗訴の判決を言い渡し、最高裁で係争中。【小林直】(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040213-00001032-mai-soci