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「オグリキャップ」「トウカイテイオー」など実在する競走馬名をゲームソフトで無断使用され、権利を侵害されたとして、北海道や東京都などの馬主が、ゲームソフトメーカー「テクモ」(東京都千代田区)に製造販売の差し止めと損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が13日、最高裁第2小法廷であった。
著名人が氏名や肖像を使った商品などを第三者に無断使用されない「パブリシティー権」が、競走馬など人以外にも認められるかが焦点だった。
滝井繁男裁判長は「競走馬の名前が顧客を引きつける力があるとしても、法律などの根拠もなく馬主に独占的な使用権を認めるのは相当ではない」との初判断を示し、著名な競走馬に限ってこの権利を認めた2審・名古屋高裁判決を破棄、請求を全面的に退けた。馬主側の敗訴が確定した。
問題となったのは、同社が1996年から製造販売した業務用、家庭用ゲームソフト「ギャロップレーサー」と、その改良版である「ギャロップレーサー2」。ゲームのプレーヤーが馬を選び、他の馬と競う設定になっている。
馬主側は「馬名がゲームに無断使用され、経済的利益が侵害された」と主張したが、この日の判決は「法律などの根拠が明確になっていない現時点では、競走馬の名前を無断使用することが不法行為になるとは言えない」と判断した。
1審・名古屋地裁は「著名な競走馬は関心や好感など特別な感情を大衆に抱かせ、馬主は関連商品から生じる経済的利益を独占的に得る権利がある」とし、G1レースに出走経験のある馬についてパブリシティー権を認め、同社に約340万円の賠償を命じた。名古屋高裁は、G1レースの優勝馬に限ってこの権利を認め、賠償額を約230万円に減額した。製造販売の差し止め請求は1、2審とも棄却し、同社と馬主の双方が上告していた。
実在の競走馬の名前を使ったゲームソフトを巡っては、別のソフトについても同様の訴訟が争われており、東京地裁、東京高裁がいずれもパブリシティー権を認めない判決を言い渡し、馬主側が上告している。
馬主側代理人の話「物にパブリシティー権を認めるか否かの線引きは、現行法で明記されていないが、具体例に即して基準を明らかにし、判断することこそ裁判所の役割で、その役割を放棄した判決だ」