2004年02月10日(火) 00時00分
米がBSE調査終了 大半の所在特定できず(朝日新聞・)
米農務省は9日、昨年12月に初めて米国で確認された牛海綿状脳症(BSE)感染牛に関する調査を打ち切る、と発表した。感染牛と一緒にカナダから輸入された牛の大半の所在を特定できず、感染源の飼料も分からなかったが、「感染牛以外は安全」と結論づけた。米政府は調査終了を受け、米国産牛肉の輸出再開に向け、日本など輸入国との交渉を加速させる方針だ。しかし、日本側は「履歴管理(トレーサビリティー)の不徹底を改めて示すものだ」(農水省)と受け止め、引き続き「日本と同等の対策」を求める構えで、交渉は長期化も予想される。
米農務省の調査は、着手から約1カ月半で幕が引かれた。感染牛と一緒に01年9月にカナダの同じ牧場から輸入された80頭の行方を調べていたが、所在が確認できたのは28頭だけだった。この28頭を含め、カナダの同じ牧場で飼育されたとみられる計255頭を検査した結果、すべて陰性だったという。これをもとに、同省は「所在を特定できなかった残りの牛も、感染の恐れはほとんどないと確信している」とした。
調査では、牛の記録が保存されていなかったり、耳に付けた識別票がなくなったりしていたため、輸入牛の所在確認が難航した。米国での個体識別やトレーサビリティー制度の不備を裏付けたといえる。
一方で、米政府はすでに昨年末、家畜追跡のための電子的な識別番号システムの導入や、正常に歩けない病的な牛の食用への利用の全面禁止などの対策を決めている。10日から訪日するゼーリック通商代表は、日本側に輸入再開を強く促すものとみられる。
日本側は今後の交渉で、「感染の可能性がある牛が行方不明という以上、検査の徹底などが必要だ」と引き続き求めていく構えだ。ただ、米農務省の依頼で国際専門家委員会が4日にまとめた報告は、日本が求める全頭検査に否定的な見解を示している。委員会報告を受けた米国の追加的対策の中身が、今後の交渉に影響を与えそうだ。
(2/10)
http://mytown.asahi.com/usa/news02.asp?kiji=5432
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