悪のニュース記事

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2004年02月10日(火) 12時38分

春秋日経新聞

 腹の底からわき上がる強烈な渇望と、せつないまでの惜別の思いが、悲しい別れを少し早めたのかもしれない——。牛丼の「食べおさめ」をめざす人々の列は、当初の予想をはるかに上回る駆け込み需要を生んだ。吉野家はきょうから牛丼の販売を休止する。

▼米農務省はきのう、BSE感染牛と一緒にカナダから輸入した牛80頭の追跡調査を打ち切る、と発表した。確認したのは28頭で、残り52頭は行方をつかめていない。感染牛と同じ餌を食べて育った25頭のうち、追跡できたのは14頭のみ。これでは、日本の当局としても、すぐに輸入再開に踏み切るわけにはいかない。

▼牛丼の復活を願うファンにとって、米農務省の姿勢はなんともつれなく、愛想なしに映る。なじみのお得意さんに、もう少し気を使ってくれてもいいじゃないか……。しかし、米国は全頭検査に合理的な根拠を認めていない。安心のためとはいえ、畜産大国が日本式の全頭検査システムに変えるとは考えにくい。

▼ただ、今回の追跡調査でも判明したように、米国は牛の履歴管理システムが整っていないことも事実。難航が予想される牛肉輸入再開交渉だが、タマネギや紅ショウガのような脇役やスパイスも総動員して、するりとおなかに収まる牛丼のごとき解決策はないものか。 

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20040210MS3M1000B10022004.html