2004年02月10日(火) 11時16分
薬害エイズ安部被告、鑑定結果は「判断能力なし」(読売新聞)
薬害エイズ事件で業務上過失致死罪に問われ、1審で無罪判決を受けた帝京大元副学長の安部英(たけし)被告(87)が、控訴審の精神鑑定で、「高齢などが原因で、物事の善悪を判断する能力がない」と診断されたことが、10日分かった。弁護側から公判停止の申し立てを受けた東京高裁が、医師に鑑定を依頼していた。
刑事訴訟法では、被告が善悪を判断できない「心神喪失」の状態になった時には、公判を停止しなければならないと定めている。同高裁は鑑定結果に基づき、公判を停止するかどうかを決める。公判停止になると被告が回復するまで再開できないことなどから、判決が確定しないまま終結する可能性が高まった。
弁護団によると、安部被告は昨年2月以降、心臓疾患で入退院を繰り返し、高齢もあって、10月には意思疎通が全くできなくなった。弁護側は11月、「心神喪失状態」という精神科医の診断結果を基に東京高裁に公判停止を申し立て、同高裁が12月、別の医師に精神鑑定を依頼していた。
安部被告は1985年、非加熱製剤の投与で患者がエイズウイルス(HIV)に感染することが予見できたのに、男性患者に投与を続けて感染・発症させ、91年に死亡させたとして、起訴された。1審・東京地裁は「予見可能性の程度は低く、過失があったとは言えない」と無罪判決を言い渡したため、検察側が控訴していた。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040210-00000103-yom-soci