2004年02月09日(月) 00時00分
「不審電話って何?」社会科で公開授業(朝日新聞・)
級友にかかった1本の不審電話をきっかけに子どもたちの勉強が始まった。不審電話の分類、どんな場合に犯罪にあたるのか……。世田谷区深沢4丁目の東京学芸大学付属世田谷小で7日、公開授業があった。不審電話をテーマにした5年3組の社会科の授業が注目を集め、約200人が見学し、教室の外にあふれた人も熱心にメモをとっていた。
「名前を偽り、電話番号を聞くだけなら犯罪になりません」。公開授業で児童の一人が報告した。近くの警察や弁護士に取材しての結論だった。
「なんで」「おかしいよ」。周りの児童たちから疑問の声があがった。「電話で教えるのと、ファクスで教えるのは違うのだろうか」。そんな質問には「電話回線を使っているから同じ」と答えた。
別の児童は不審電話の種類を分類して発表した。お金を請求する被害がもっとも多かった。代表例が「オレオレ詐欺」だと報告。「顔が見えないから逆に信じてしまう」と分析した。
「不審電話」をテーマにした子どもたちの勉強は深まっていた。
見学した新潟県上越市立高志小の中川和代教諭(30)は「情報の大切さを自分の問題として児童がとらえている。大人でもなるほどと思うことが多かった」と感心していた。もっとも、「法律に偏りすぎ」との厳しい見方もあった。
昨夏、クラスの一人に電話会社の社員を名乗る男からかかった電話が5年3組の勉強の発端だ。電話相手は「連絡網の確認。おかあさんの了解も得ている」と、言葉巧みに級友の電話番号を聞き出した。
これを聞いた担任の鎌田和宏教諭(40)は「身近な情報が利用されている。自分で管理する大切さを考えよう」と1月から授業で取り上げた。「だまされるなんて」と冷ややかな級友もいた。だが、巧妙な電話を知れば知るほど、「なぜ罪にならないのだろう」と疑問に変わった。
電話でだまされた児童は「事件は忘れられない。でも、おかげで授業で積極的になれた。事実が分かった」と話していた。
同校のこの日の公開授業には教育関係者など千人以上が全国から参加していた。
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http://mytown.asahi.com/tokyo/news02.asp?kiji=2814
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