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2004年02月08日(日) 05時59分

住基カード交付、照会書持参者の本人確認しない自治体も朝日新聞

 住民基本台帳カードの取得の際に、全国の道府県庁所在地46市と東京23区のうち40市区が窓口で照会書以外の本人確認をせずに交付していることが、朝日新聞社の調べで分かった。佐賀県鳥栖市の住基カード不正取得事件は、十分な本人確認をせずにカードを交付すると住民基本台帳ネットワークに入る「鍵」を他人が容易に取得できる危険性を浮き彫りにしただけに、住基カードの申請、交付時の本人確認のあり方が改めて問われている。

 調査によると、交付時に健康保険証など身分証の提示を求める自治体は22市区だけ。40市区が照会書を持参した人物を本人とみなし、他の方法で確認しないまま交付していた。「照会書を他人が入手して持参することは想定しない」というのが主な理由だ。

 今回、被害者の男性(53)は、知人で自称自営業の石井幸一容疑者(46)=福岡市南区塩原3丁目=に「市役所から封書が届いたら渡してほしい」と言われ、内容を確認しないまま手渡した。照会書だけでは、他人のすり替わりを防げない。

 交付時の本人確認を強化している自治体もある。静岡市は、照会書の持参者に本籍や家族構成などの聞き取りを実施。カード交付後も確認通知を郵送している。東京都北区では、照会書の送付時と発行時に窓口を訪れた人物に、本籍などのほかに生まれた年の干支(えと)を尋ねることもあるという。

 今回の事件を機に、見直しを始めた自治体も出てきた。佐賀市では、6日から交付時に照会書に加えて聞き取りでの確認を始めた。

 だが、住民基本台帳法施行規則では、照会書を持参した人物が本当に本人なのかを他の方法で確かめることまで定めておらず、実態は自治体任せ。

 今回の事件を受けて総務省は5日、申請時に健康保険証などの提示を受けるなど、住基カード発行に関する事務処理要領を改正する方針を示した。だが、自治体の担当者からは「申請時に本人確認をするだけでなく、交付時にこそ、その徹底が必要だ」という声が出ている。

(02/08 05:58)

http://www.asahi.com/national/update/0208/006.html