悪のニュース記事

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2004年02月07日(土) 14時54分

2月7日付・よみうり寸評読売新聞

 「説教強盗」と呼ばれた怪盗が昭和の初め、東京で暗躍した。黒装束に身を固め、夜陰に乗じて他人の家に侵入。枕元に立って、金を要求しながら、防犯の心得を延々と説いた◆「戸締まりが悪い」「庭に電灯をつけなさい」「不用心だから犬を飼った方がいい」。おかげで番犬が売れ、犬の値段が高騰したとも伝えられる◆インターネットのホームページに不正侵入したとして、警視庁に逮捕された京都大の研究員も、数年前から、ネット版の〈防犯の心得〉を専門誌などを通じて説いていた。「多くのホームページに安全上の欠陥があり、個人情報が漏れかねない」と◆独自調査した京大も行為は警告のためと言う。だが、この研究員は、対策が進まないからと、公的団体などのホームページに実際に侵入し、方法も公開した。模倣者もいる。違法に基づく“説教”では、「正義」とは言い難い◆昭和の説教強盗は、六十五回の犯行の末に逮捕。仮釈放後、警察の防犯活動に協力し、十五年前に他界した◆ネット犯罪防止の専門知識も、正しく使わなくては意味がない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040207ig05.htm