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2004年02月06日(金) 14時33分

企業狙った「消火器点検商法」被害急増読売新聞

 企業の支店や寮などを訪れ、「本社から指示された定期点検」などと言って備え付けの消火器の中身を入れ替え、高額の料金を請求する「点検商法」の被害が急増している。

 家庭に消火器本体を売りつける悪徳商法に代わって、全国各地で目立ち始め、昨年は、東京、大阪、名古屋の各消防署に計406件の相談が寄せられた。今年に入ってからの被害もすでに41件に上っており、総務省消防庁は、都道府県などを通じて、悪質な業者の実態調査に乗り出した。

 横行している点検商法は、企業や農協の支店や寮、工場を狙ったもので、「本社の指示で消火器の点検にきた」などと偽って、契約書にサインさせたり、備え付けの消火器の点検を勝手に始めて、承諾も得ないまま消火剤を新しいものに入れ替えてしまう、といった手口が特徴。複数の業者が全国各地を移動し、同様の手口を繰り返しているとみられている。

 東京消防庁によると、昨年1年間に都内で確認された被害は155件に上り、約60件だった一昨年の2倍以上に達した。

 昨年10月に被害に遭った小金井市内の会社員寮の場合、点検業者を名乗る人物が「出入りの業者から依頼された」と偽って、備え付けの消火器13本を点検名目で持ち帰り、「点検代は24万円」とする契約書を置いていった。

 その後、寮の関係者が確認したところ、出入りの業者が依頼した事実はなく、消火剤の相場も1本5000—8000円程度であることが判明。このため寮側は、業者に消火器を返すよう電話で訴え、最終的に請求額の半額を支払うことで、消火器を取り戻したという。

 同庁によると、このように「時間をかけて点検する」と言って消火器を持ち帰るケースも多く、被害者の大半は、消火器が返ってこないのではないかと不安を覚え、言われるままに高額の請求に応じているのが実情だという。

 また、会社など事業所の被害情報は、一般消費者の場合と違って消費者センターなどに集約されないため、警察の捜査がなかなか進まないことも、被害拡大の要因になっているとみられる。こうした現状を受け、総務省消防庁は先月下旬、実態を報告するよう各都道府県に通知した。

 会社などの事業所が契約した場合、一般家庭と違って、クーリング・オフ制度(契約から8日以内なら代金を支払わずに解約できる)は原則的に適用されない。ただし、消費者問題に詳しい鈴木尉久(やすひさ)弁護士は「事業所であってもクーリング・オフが適用されるという判例もある。詐欺まがい商法に引っかかったと思ったら、代金を払わず、毅然(きぜん)とした態度で応対すべきだ」と話している。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040206-00000005-yom-soci