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研究員が情報を引き出したのは、社団法人「コンピュータソフトウェア著作権協会」のホームページ(HP)。協会の仕事柄、情報流出などあってはならないところで起きてしまった。
きっかけは決して悪意ではなかったようだ。同HPから簡単な操作で部外秘の個人情報が読みとれる状態になっていたのに気付いた研究員は、協会に情報が漏れやすい状態になっていることを通報する一方、都内で開かれたネットの専門家向けイベントで、入手した個人情報を公開してしまった。
最近、個人情報が流出する事件が頻発している。税の確定申告をするため、国税庁のHPにアクセスすると他人の情報が出てきてしまったことなどは信じ難い。
政府が推進している住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)でも、長野県の実験結果にあるように、情報流出の恐れを指摘する声が続いている。
一般企業のHPからの個人情報流出事件は大手通信業者の例をはじめ枚挙にいとまもないほどだ。
政府は情報立国を打ち出し、民間企業もネットを利用した新サービスを広げている。だが、個人情報が流出してしまうようでは、市民が安心してネット時代の便利さを享受することはできない。
逮捕された研究員は、以前から、さまざまなHPの欠陥を匿名で指摘してきたらしい。それなのに無視されたり、秘密裏に対策が取られるだけで、HPの利用者に情報流出の恐れがあった事実が公開されないということが度重なり、広く警告する意味でイベントでの公開という挙に出たという。
知識のある利用者が、ネット管理者が気付かない情報漏れの“穴”に気付くことは珍しくない。個人の家で、扉のカギがはずれているのを近所の人が気付くようなものだ。
カギがはずれているからといって、他人の家に入ってしまっては、違法行為になるが、家人に知らせてあげることは必要だ。
ネットの情報管理者は、利用者から指摘を受けたら、迅速に防止策を取るのはもちろん、事実を公開して報告者の労に報いるべきだろう。
法律違反という一線を越える前に、利用者と管理者が協力して情報流出を防ぐ、よい関係を築きたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040206/col_____sha_____002.shtml